【11月26日 AFP】中国政府が尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島、Diaoyu Islands)を含む東シナ海(East China Sea)の広範囲の空域を「防空識別圏(ADIZ)」に設定したことについて、米国政府は25日、日本政府と同様に認めない考えを示した。

 中国が防空識別圏を設定し、同圏内を飛行する航空機は中国の指示に従う必要があると発表したことにより、周辺地域における軍事的緊張は急激に高まっている。日中両政府は、防空識別圏の設定をめぐり、互いの駐在大使を呼び抗議した。

 安倍晋三(Shinzo Abe)首相は中国が設定した防空識別圏を認めず、主権問題にて譲歩する気はないとしている。25日の参議院決算委員会では、中国の行動は「不測の事態を招きかねず非常に危険だ」と、強い懸念を表明。中国に対して自制を促した。

 韓国と台湾の両政府も同様の考えを示しており、安倍政権が韓台と足並みをそろえた珍しい事例となった。

 米国のジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)大統領副報道官は25日、政府専用機内で記者団に対し、中国による防空識別圏の設定について「不必要に挑発的」と述べ、同地域における問題は外交的に解決されるべきと述べた。

 また、同盟国の日本と韓国に約7万人の兵士を駐留させている米軍も、中国による防空識別圏は地域の安定を乱すとして、順守しない方針を示している。

 米国防総省のスティーブ・ウォーレン(Steve Warren)報道官は、「この空域を飛行する際、われわれは飛行計画を提出するつもりはない。(航空機を識別するための)応答装置や双方向無線通信の周波数、識別のためのロゴについても明確にはしない。中国はこれらを順守するよう公に求めている」と述べた。(c)AFP/Shaun TANDON