【11月25日 AFP】バチカン市国のサンピエトロ広場(St. Peter's Square)で24日、イエス・キリスト(Jesus Christ)の12使徒の長でカトリック教会の礎とされる聖ペテロ(Saint Peter)のものと伝えられる「遺骨」が初めて公開された。

 フランシスコ(Francis)法王が執り行った「信仰年」を締めくくるミサで公開された遺骨は、2~3センチの小片8つで、聖ペテロの彫刻が刻まれた銅製の箱に納められている。普段は法王庁内の小さな礼拝堂に安置されており、台座の上に置かれたこの聖遺物を一目見ようと、広場には数万人の信者が詰めかけた。

 遺骨の真贋については歴史家や考古学者の間で議論になっている。1949年の発掘調査の際に聖ペテロをたたえる古い碑のそばで見つかったが、長く収納庫の中に埋もれていた。その後、考古学者のマルゲリータ・ガルドッチ(Margherita Guarducci)氏が「ペテロここに眠る」との記述を発掘現場の墓地で発見し、遺骨の調査を要請。骨の主が「金糸で縫い取りされた紫色の布に包まれて埋葬された60~70歳のがっしりした男性」だと突き止めたことから、1968年に当時の法王パウロ6世(Paul VI)が、聖ペテロの遺骨が納得のいく方法によって確認されたと発表した。

 DNA鑑定による裏付けができないため、今後も真贋をめぐって議論は続くとみられるが、ローマ法王庁は「いかなる論争も繰り広げるつもりはない」との立場を示している。(c)AFP