【11月17日 AFP】合意が先送りとなった核問題をめぐるイランと国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国(米英中仏露)にドイツを加えた6か国(P5+1)の協議では、イランが同国西部のアラク(Arak)で建設を進めている重水炉への懸念が深まり、フランスは建設中止を求めた。

 アラクの重水炉建設が懸念されるのは、核兵器への転用が可能な高濃縮ウランの代替となるプルトニウムを抽出できるため。専門家によると、重水炉が完成すれば使用済み燃料から1年に5~10キロの兵器級プルトニウムを製造できるようになる。これは核兵器1個を製造するのに十分な量だ。

 イランは、アラクの重水炉の目的は、核兵器開発ではなく医療用アイソトープの製造や研究だと主張している。稼働する時期は明らかになっていないが、国際原子力機関(IAEA)は8月、イランが計画している2014年1~3月中の稼働開始は不可能との見方を示した。

 スウェーデン・ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research InstituteSIPRI)のシャノン・カイル(Shannon Kile)氏はAFPに「プルトニウムを抽出できる使用済み燃料を作るには重水炉を12~18か月、稼働させる必要がある」と話す。イランにはIAEAに申告された再処理施設はなく、仮に未申告の施設があってもすぐに発見される。カイル氏は「再処理施設は大規模で、ガス状の放射性核種が放出されるため、環境サンプリングで突き止めることが可能。イランがIAEAの査察を受け入れようと受け入れまいと、空からの調査などで突き止められる」と話した。

 アナリストの多くは20日にジュネーブ(Geneva)で行われる次の協議について、重水炉の使用済み燃料の第三国への移送や、重水炉に比べて核兵器への転用の恐れが少ない軽水炉に改造することなどにイランが同意すれば、米欧など6か国はアラクの重水炉稼働を容認するとみている。(c)AFP/Simon STURDEE