【11月15日 AFP】国連(UN)の国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)は14日に公表した四半期報告書で、イランが核開発活動の拡大を凍結していると明らかにした。来週の主要国との核協議を前に、ハサン・ロウハニ(Hassan Rowhani)大統領が信頼醸成を目指して講じた措置との見方もある。

 IAEAによると、ナタンツ(Natanz)のウラン濃縮施設に過去3か月間に増設された遠心分離機の数はわずか4基で、その前の3か月の1861基に比べて大幅に少なかったという。AFPが確認した同報告書には、フォルド(Fordo)の施設でも新たに稼働した遠心分離機はなかったと記されている。

 さらに、イランは新世代の遠心分離機「IR-2m」の稼働を開始していないこと、プルトニウム生産につながる恐れもあるアラク(Arak)に建設中の重水炉に「目立った部品」は設置されていないことも報告された。理論上、より高速のIR-2mを使えば核兵器用の兵器級ウランを生産する時間が短縮されるため、国際社会が懸念を表明している。

 これに対しイランは、自国の核開発計画は平和目的だと主張。イランにおけるIAEAの活動に詳しい上級外交官も、イランが核活動拡大を凍結したのは「決して技術的な理由によるものではない。明らかに選択されたものだ」と話している。

 8月のロウハニ政権発足以来、IAEAの四半期報告書が提出されるのは今回が初めて。来週スイス・ジュネーブ(Geneva)で主要国との核協議が再開されるのに先立って公表された。米英中仏露にドイツを加えた6か国(P5+1)は、イランが核活動の拡大を凍結するだけにとどまらず、濃縮度20%の濃縮ウランの製造停止や、アラクの重水炉の建設中止といった、核開発計画のうち最も懸念されている部分の凍結を要求している。一方イランはその見返りとして、同国経済に打撃を与えている国連および欧米諸国の制裁措置の近日中の緩和と、イランがウラン濃縮を行う権利を主要国が容認することを求めている。(c)AFP