【11月11日 AFP】国際司法裁判所(International Court of JusticeICJ)は11日、タイとカンボジアの間で領有権が争われている世界遺産のヒンズー教寺院遺跡「プレアビヒア(Preah Vihear)」周辺の地域をめぐる訴訟の判決で、同地帯はカンボジアに帰属するとの判断を下した。

 タイとカンボジアはプレアビヒアに隣接する4.6平方キロの地帯の領有権を争っており、2011年以降の衝突でこれまでに少なくとも28人が死亡している。係争地はカンボジア領内の高台にあるが、交通はタイ側からの方が容易な場所だった。タイ側は、寺院自体の領有権は主張していない。

 2011年の衝突では住民数万人が避難を強いられ、カンボジアが国際司法裁判所に対し、同裁判所が1962年に下した、プレアビヒアがカンボジアの領土内にあるとの判断の解釈を求めて提訴していた。

 国際司法裁判所のペテル・トムカ(Peter Tomka)所長は、同裁判所の1962年の判断を「カンボジアがプレアビヒアがある高台の全域にわたる主権を有する」と解釈したとし、「その結果としてタイは、その領土に駐留させていた軍や警察部隊、その他の警備要員や守衛を撤退させる義務があった」と述べた。

 国際司法裁判所は昨年、両国に係争地からの部隊撤退を命令。カンボジア、タイ両国は12年7月、ようやく係争地から軍部隊を撤退させ、代わりに警察官と治安要員を配置させていた。

 国際司法裁判所の判決は法的拘束力があり、上訴することはできない。(c)AFP/Charles ONIANS