【11月12日 AFP】中米の浜辺に何百匹ものウミガメの死骸が打ち上げられており、原因はプランクトンの異常増殖である赤潮のときに、赤潮プランクトンが産生する強力な神経毒だとする説が挙がっている。しかし謎なのは、これまでの赤潮の際にこれほど多くのウミガメが死んだ例はない点だ。さらに、死んでいるウミガメの一部は絶滅危惧種だという。

 エルサルバドルでは9月下旬から10月中旬にかけて、太平洋沿岸の浜辺で114匹のウミガメの死骸が見つかったと、環境省が発表している。死んでいたのは、クロウミガメとヒメウミガメ、さらにその2種の交配種だった。

 同国環境省の野生動物と生態系部門を率いるネストル・エレーラ(Nestor Herrera)氏によれば、赤潮時に産生される麻痺性貝毒サキシトキシンが原因とする説が最も有力だという。ある地域では、カメの死骸を食べた複数のイヌの呼吸が突然止まり、ほとんど瞬時に死んだという。

 エルサルバドルでは、06年にこのサキシトキシンが原因でウミガメ500匹が死に、その4年後にも同じく100匹が死んだ例がある。

 他の中米諸国で打ち上げられた死骸の数も悲惨な状況で、今年これまでにグアテマラで115匹、コスタリカで280匹などとなっている。また昨年末にはパナマで200匹が死んでいた。

 ニカラグアでは数は明らかになっていないが、また別の問題もある。産卵のためにカメが浜に上陸したのが通年より数週間遅れ、9月下旬だったのだ。「持続可能な開発のためのニカラグア基金(Fundenic)」の生物学者イバン・ラミレス(Ivan Ramirez)氏によれば「原因は気候変動だとも、海流だとも、漁法だともいわれている」と述べる。

 さらにウミガメの大量死の原因が、人間の活動にもっと直結するものではないかと懸念する声も挙がっている。グアテマラ政府の自然保護区全国協議会では、底引き網漁を行っている漁船のトロール網に掛かったカメもいると指摘している。

 またダイナマイト漁をはじめとするその他の漁法でもカメが死んでいると、Fundenicの生物学者ファビオ・ブイトラゴ(Fabio Buitrago)氏は述べている。(c)AFP/Carlos Mario MARQUEZ