【11月8日 AFP】「スパイダーマン(Spiderman)」や「超人ハルク(The Hulk)」、「キャプテン・アメリカ(Captain America)」など数々のヒーローを世に送り出してきた米コミック出版社マーベル(Marvel)が、スーパーヒロイン「ミズ・マーベル(Ms. Marvel)」の新シリーズの月間連載を来年2月にスタートする。かつての「ミズ・マーベル」は金髪碧眼の美女だったが、このほど新たに主人公となるのはイスラム教徒のパキスタン系米国人の10代少女だ。

 マーベルの記者発表によると、新しい主人公の名前はカマラ・カーン(Kamala Khan)。ニュージャージー(New Jersey)州ジャージーシティー(Jersey City)在住で、あらゆる可能性を持ちながら両親の大きな期待がプレッシャーとなっている、どこにでもいるタイプの少女だ。「自分探しに一生懸命なごく普通の16歳の少女だが、ある日突然スーパーパワーに目覚め、空前の冒険を始める」と、マーベルコミックのアレックス・アロンソ(Axel Alonso)編集長は説明する。

 原作はイスラム教に改宗した米国人女性コミックライターで現代宗教に関する著作もあるG・ウィロー・ウィルソン(G. Willow Wilson)氏が、作画はエイドリアン・アルフォナ(Adrian Alphona)がそれぞれ担当する。原作担当のウィルソン氏は、新しい「ミズ・マーベル」を生み出すに当たり、自分の少女時代を振り返って「とりわけ若い女性が感情移入できる真に迫ったキャラクター」として描こうとしていると説明。「オタク的な少女たち、人生を斜めに見ている全ての人々のための作品だ」と語った。

 以前の「ミズ・マーベル」は金髪碧眼の空軍少佐キャロル・デンバーズ(Carol Danvers)が主人公だった。新シリーズでは、スニーカーにぶかぶかのセーターを着たカマラが、伝統的な青と赤のヒーロースーツに変身する。

 担当編集者のサナ・アマナット(Sana Amanat)氏によると、カマラの物語が生まれたきっかけは「自分のルーツのある土地から離れて暮らすイスラム系米国人たちの真の状況を描きたいという思い」だったという。ただ、イスラム教徒であることやパキスタン系のルーツを持つこと、米国人として生きることの意味は、物語の本質ではないそうだ。「究極的には、掛けられる期待の中で自分を見失いそうになる若者の生きざまと、自分の選択によってどんなことが起きるかを描いたストーリーだ」と、アマナット氏は述べている。(c)AFP