【11月8日 AFP】(一部更新)今年発生した中で最も勢力の強い台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)が8日未明、フィリピン中部に上陸した。フィリピン当局の発表によると、猛烈な風で建物の屋根が吹き飛ばされたり大波で住宅が押し流されたりするなどの被害が相次ぎ、同日午後までに3人が死亡、1人が行方不明となっている。

 フィリピン気象当局によると台風30号は、8日午前4時40分(日本時間同日午前5時40分)ごろ、首都マニラ(Manila)の南東およそ600キロに位置するサマール(Samar)島に上陸した。北西に進んでおり、8日中にフィリピンを横断して南シナ海(South China Sea)に抜けるとみられる。

 米海軍合同台風警報センター(Joint Typhoon Warning Center)によると、8日朝の時点でのハイヤンの最大風速は87.5メートル、最大瞬間風速は105メートル。

■史上最強の台風上陸

 インターネットで気象情報を提供しているウエザー・アンダーグラウンド(Weather Underground、米国)のジェフ・マスターズ(Jeff Masters)氏によると、風力で見ると台風30号の強さは観測史上4位に入り、上陸したものとしては史上最強だという。上陸した中でこれまで最も風力が強かったのは1969年に米ミシシッピ(Mississippi)州を襲ったハリケーン・カミール(Camille)で、その風速は84.7メートルだった。

 マスターズ氏はサマール島にある人口約4万人の漁業の街、ギワン(Guiuan)が「壊滅的な」被害を受ける恐れがあると指摘した。台風の上陸直後にギワンとの通信は途絶えたが、民間防衛当局は被害の規模を推定するには早すぎるとしている。ABS CBNテレビが放送した映像には、ギワンに近い人口20万人以上の都市タクロバン(Tacloban)で、道路が冠水したり、一部の建物が倒壊した様子が捉えられていた。

 民間防衛当局によると、台風30号上陸前に12万5000人以上が施設などに避難し、数百万人が自宅で台風に備えた。フィリピン当局によると、台風の進路にある学校の休校やフェリーの運休の他、地元漁師に船の係留を命じるなどの措置が取られた。

 マニラは台風の進路に当たらなかったもののなんらかの影響が出ることが予想され、多くの学校が休校になった。また、フィリピン航空(Philippine Airlines)やセブ・パシフィック航空(Cebu Pacific)などの航空各社は、国内便を中心に数百便の欠航を発表した。(c)AFP