【11月6日 AFP】プロのマッサージ師の手の柔らかいタッチに代わるのは、うろこに覆われた体長1.8メートルのヘビたちのヒヤっと冷たい体だ。

 会計士のフェリ・ティルケーさん(31)は、インドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)にあるマッサージセンターで「ヘビマッサージ」を試そうという勇気ある少数派の1人だ。心地良さげに目を閉じて横たわるショーツ1枚のティルケーさんの上をまんべんなく、3匹のヘビが体を滑らせていく。「味わったことのない感覚だ。アドレナリンがみなぎるよ」。ジャスミン、マッスル、ブラウンと名付けられた3匹は、ティルケーさんの首から前に回って腹部を通り、背中へと巻き付き、時に鎌首をもたげては先の割れた舌を出す。

 ここ「バリ・ヘリテージ・リフレクソロジー・アンド・スパ(Bali Heritage Reflexology and Spa)」では、数々の奇妙なものを含め実に300種類のマッサージを体験できる。中でもヘビマッサージは約1年前に開始して以来、客足が途切れることがない人気マッサージだ。料金は90分48万ルピア(約4000円)だ。

 普段は殺菌消毒した箱に入れられているヘビたちは、箱から取り出されるとテープで口を止められる。施術中は2人のマッサージ師が付き添い、安全のために見張りつつ、ヘビたちがとぐろを巻いてしまったり、1か所で止まってしまわないよう誘導する。

 このヘビマッサージを受けるのは、スリルや新体験を求める人たちが多いが、ティルケーさんのように実はヘビ嫌いを克服するために来たという人もわずかにいる。「前はヘビが怖くて、恐怖症だったんだ。でも、ヘビマッサージを3回続けたら恐怖が消え始めて、今じゃヘビが好きなくらいだよ」

 スパの支配人、パウラス・アブラハム氏いわく、ティルケーさんのように国内からの利用客は少なく、欧州や日本、韓国などから訪れる人が多いという。動物愛護団体はヘビの虐待に当たると指摘しているが、アブラハム支配人は丁寧に接していると強調し「ヘビを労働者のようには扱っていない。家族や友人のように扱っている。キスをして抱きしめて、身の回りの世話もきちんとしている」と述べた。(c)AFP/Sam Reeves