【11月6日 AFP】国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)は5日、今世紀の地球の気温上昇を2度未満に抑えるとの目標を達成できる可能性が、急速に低下していると警鐘を鳴らす報告書を発表した。

 報告書は、ポーランドの首都ワルシャワ(Warsaw)で来週11日より開かれる予定の気候に関する年次会議に先立ち発表された。それによると、調査対象の国々が既存の排出量削減協定を守ったとしても、2020年には地球温暖化ガスの排出量が目標水準より80億~120億トン高くなる見込みだという。

 科学者らは、2度の上限を超えないようにすることで、気候変動の最悪の影響は回避されるとしているが、報告書によると、そのためには温暖化ガス排出量を2020年までに14%削減する必要がある可能性が高いという。

 今回の報告書は、2020年の温暖化ガス排出量の「二酸化炭素(CO2)相当量」を約590億トンと予測しており、昨年の報告書の試算よりも10億トン高くなっている。

 UNEPのアヒム・シュタイナー(Achim Steiner)事務局長は「この2度の目標上限を超えないようにする取り組みの実現可能性は、かつてないほど薄くなっている」と指摘。

 また専門家からは、この目標は「非現実的だ」との声も上がっているが、UNEPは技術的には達成可能と述べている。

 報告書は、地球温暖化ガスの全排出量の約11%を排出している農業部門を取り上げ、まだ大幅な排出量削減の余地がある領域だと指摘。畑の耕起を減らして農地への樹木や低木の植林を増やすなどして、2020年の温室効果ガスを最大40億トン削減することができると述べている。

 シュタイナー事務局長はさらに、発展途上国に対して再生可能エネルギー源構築のための国際的な財政支援を行うことも重要だと述べている。(c)AFP