【11月6日 AFP】チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)米国防長官は5日、米国は国防費の大幅な削減を受けて軍の規模縮小を余儀なくされ、軍事力に頼る方針を改める必要が出てくるだろうと述べた。

 米シンクタンク「戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)」で演説したヘーゲル国防長官は、米軍は2001年の同時多発テロ後の約10年間に潤沢な予算を享受してきたが、今後は財政面からの予算削減圧力と新たな戦略上の現実を受けて「国防の全体的な改革と再構成の必要がある」と指摘した。

 ヘーゲル国防長官は、軍事力は重要であり続けるものの、今後は外交の補助的な役割を担うようになるだろうとの見方を示し、「米国は影響力を行使する上で、非軍事的手段に重きを置いていく必要がある」と述べた。

 その一方で、米国が外国の問題に関与し、国際社会で責任を果たすことに米国民が懐疑的になって内向きになるのは自信過剰と同じくらい危険なことだと指摘し、「21世紀の外交で成功するにはその両方を避けなければならない」と述べた。

 米国では一度は認められた国防支出が4870億ドル(約48兆円)削減された上、年明けから10年間で5000億ドル(約49兆円)近くの国防費の強制歳出削減が実施されることになっており、国防総省は準備に追われている。

 この国防費強制削減についてヘーゲル氏は、「あまりに早急かつ大規模、唐突で、無責任過ぎる」と批判し、小規模な精鋭部隊の編成や、部隊の即応性に段階をつける必要が出てくるだろうとの見方を示した。

 また同氏は、国防総省は国防費全体を切り詰める必要が出てくる中「技術面での優位性を保つことが重要になる」と指摘し、予算配分の焦点は特殊部隊や無人偵察機、宇宙兵器やサイバー兵器などに置かれると述べた。(c)AFP