【10月31日 AFP】2010年を最後に米プロバスケットボール協会(NBA)でのプレーから遠ざかっていたアレン・アイバーソン(Allen Iverson)が30日、プレーする意欲がなくなったとして現役引退を正式に発表した。

 アイバーソンといえば、1996年のドラフトで全体1位指名を受けて入団したフィラデルフィア・セブンティシクサーズ(Philadelphia 76ers)での活躍が強い印象を残している。

 1996-97シーズンの最優秀新人選手に輝いたアイバーソンは、2000-01シーズンにはセブンティシクサーズをNBAファイナル進出に導き、同シーズンの最優秀選手(MVP)にも選出された。

 アイバーソンは引退の理由について、「持てるすべてをバスケットボールに捧げた。情熱はまだ残っているが、(プレーをしたいという)意欲がなくなった」と語っている。

 物議をかもすことがたびたびあった14年の選手生活で、アイバーソンはセブンティシクサーズをはじめデンバー・ナゲッツ(Denver Nuggets)、デトロイト・ピストンズ(Detroit Pistons)、メンフィス・グリズリーズ(Memphis Grizzlies)とチームを渡り歩いた。

 2009年12月には古巣のセブンティシクサーズに再加入して25試合に出場したが、その後は個人的な事情を理由に退団している。

 NBAオールスター通算11回の出場を誇るアイバーソンは、首脳陣との衝突が何度も取り沙汰された。

 2002年のプレーオフに出場した際には、試合後の記者会見で練習のさぼり癖についての質問にアイバーソンが「練習のことであって、試合じゃない。たかが練習だ」と答え、メディアに大きく取り上げられた。

 それでも38歳のアイバーソンは一切の後悔はないと断言している。

「何かを変えようと思うかって?ノーだ。俺のキャリアには時期によって浮き沈みがあった。多くの過ちを犯したし、誇れないこともたくさんある。だからといって何も取り返すことはできない」

 引退を決断した今、アイバーソンは過去のチームメート、コーチ陣、そしてファンに感謝の意を述べた。

 特にジョージタウン大学(Georgetown University)時代の恩師であるジョン・トンプソン(John Thompson)氏とフィラデルフィア・セブンティシクサーズでHCを務めたラリー・ブラウン(Larry Brown)氏は、アイバーソンにとって特別な存在だったとしている。

 アイバーソンはブラウン氏について、「新人時代の俺は批判を正しく受け止めることができなかったが、それはいつだって彼の愛情の表れだった。いつもそこにいて、自分がなりたいと思い描いていた選手になるために手を差し伸べてくれた。彼のおかげでMVPを取るまでの選手になることができた」と語った。(c)AFP