【10月26日 AFP】ベルギーの国内メディアが24日報じたところによると、同国のレース鳩6羽にコカインや鎮痛剤などの薬物が投与されていたことが分かった。

 自転車愛好家も多いベルギーでは、スポーツ選手が成績を上げるために運動能力向上薬を使用したという話はよく聞くが、関係当局が現在調べているのはレース鳩だ。繁殖の費用やレースの賞金など、鳩レースには巨額の「カネ」が関わる。

 フランドル地方の日刊紙2紙が伝えたところによると、ベルギーの鳩レース連盟は先ごろ、相互訪問したばかりの南アフリカの競馬関係機関ナショナル・ホースレーシング・オーソリティー・オブ・サウザンアフリカ(National Horseracing Authority of Southern Africa)に、レース鳩20羽から採取したサンプルを送った。

 これらのサンプルからコカインや鎮痛剤、解熱剤が検出されたという。これらのレース鳩はベルギー国内でも検査されていたが、問題は見つかっていなかった。

 ベルギーでは、成績トップのレース鳩「ボルト(Bolt)」が中国の投機家に31万ユーロ(約4170万円)で売却されたことがメディアをにぎわせたばかり。「ボルト」の名は、五輪で通算6個の金メダルを獲得しているジャマイカの陸上競技短距離選手、ウサイン・ボルト(Usain Bolt)から取ったものだ。

 鳩レースの魅力やそれがもたらす富は、ブリーダーの窃盗被害や恐喝事件といった問題につながっている。この夏には、鳩レースのスター「ボルト」をはじめとする数百羽のレース鳩が、書類に記載された申告価格が問題視されて中国の税関で差し止められるという、数百万ユーロが絡む「事件」も起きた。

 鳩レースは、レース用に繁殖させて訓練した鳩を特定の場所から放し、それぞれの鳩舎に戻るまでの速さを競う。(c)AFP