【10月21日 AFP】世界最大の熱帯雨林、アマゾン(Amazon)に生い茂る樹木は、実際には同じ種類の木が多数を占めているとの調査結果をまとめた論文が18日、米科学誌サイエンス(Science)で発表された。

 米フィールド自然史博物館(Field Museum)や米ウェイク・フォレスト大学(Wake Forest University)などの研究チームは、ブラジル、ペルー、コロンビア、ガイアナ、スリナム、仏領ギアナの国々にまたがる広大なアマゾン盆地で最もよく見られる樹木の種類の一覧表を作成することに挑戦した。

 米国本土にほぼ相当する面積を有する「大アマゾン」として知られるこの広大な地域には、約3900億本の樹木が存在する。

 研究チームは、1179件の森林調査で得られたデータをまとめた結果、アマゾンで最もよく見られる樹木種は、ヤシ科のエウテルペ・プレカトリア(Euterpe precatoria)であることを世界で初めて明らかにした。

 また、たった227種類の樹木種に属する樹木が、熱帯雨林全体の樹木の約半数を占めていることも分かった。

 アマゾン全体には、約1万6000種類の異なる樹木種が存在する。つまり森林の約半分が、樹木種全体の1.4%で構成されていることになる。

 研究者らは、このよく見られる種類の樹木を「ハイパードミナンツ(hyperdominants、超独占種)」と呼んでいる。超独占種としては、ブラジルナッツの木、チョコレートの木、ゴムの木、アサイーベリーの木などが挙げられる。

 これらの樹木がこれほどよく見られる理由は、先住民が数千年間にわたって植樹を盛んに行なったからと考えている専門家もいる。

 一方、論文の共著者で、米シカゴ(Chicago)にあるフィールド自然史博物館の客員研究員のナイジェル・ピットマン(Nigel Pitman)氏によると、「これらの樹木は、人間がアメリカ大陸に足を踏み入れるはるか以前に独占種になっていたと考えている」専門家もいるという。

 また今回の集計結果は、個体数が1000本に満たない樹木種が約6000種も存在することを示唆しており、アマゾンの種の希少性に関する新たな手掛かりをもたらした。

 このことは、国際自然保護連合(International Union for Conservation of NatureIUCN)の「レッドリスト(Red List)」に照らし合わせると、これらの樹木種が絶滅危惧種とみなされることを意味する。

 論文共著者のウェイク・フォレスト大のマイルズ・シルマン(Miles Silman)氏は「希少種で見つけるのが困難な種が地球の生物多様性の大半を占めていることが、われわれのモデルにより判明している」と指摘し、「これは自然保護にとっては大問題だ。なぜなら、絶滅の危険性が最も高い種が、われわれに見つからないうちに姿を消してしまうかもしれないからだ」と述べている。(c)AFP