【10月21日 AFP】「マラソン王国」エチオピアで20日、伝説的長距離ランナー、ハイレ・ゲブレセラシェ(Haile Gebrselassie)氏が組織した同国初の国際マラソン大会が行われた。

 大会はエチオピアの首都アディスアベバ(Addis Ababa)の南275キロのハワサ(Hawassa)で行われ、エチオピア人招待選手150人と外国人アマチュア・マラソンランナー約150人が参加した。

 このマラソンにエチオピアのトップランナーを集めるため、主催者は男性と女性それぞれの優勝者に、エチオピア国内のマラソン大会としては過去最高となる約5300ドル(約52万円)の賞金を用意した。

 エチオピアはマラソンを含む陸上競技全般の強化に取り組んでいる。過去2年間で複数の世界レベルの新しいトレーニングセンターを開設し、一連の競技会を開催して世界中から多くの人を集めている。

■エチオピアのイメージも変えたい

 ハイレ・ゲブレセラシェ氏は、一流選手を世界に送り出すだけでなく、海外からランニング愛好家を呼び込んでランニング文化を育てるとともに、外国人にエチオピアを旅行する機会を持ってもらいたいと思っている。1980年代に飢餓や戦乱があった国というエチオピアのイメージを変えるには国際的によく知られるようにすることが不可欠だというのが同氏の考えだ。

 エチオピア北部をまわる10日間の旅の後に女子ハーフマラソンの部に出場して優勝した米国のアニー・デルプ(Annie Delp)さんは、「エチオピアは美しい国で、人々も魅力的だし食べ物もおいしい。そういったことが知られていません。マラソン大会はそんな状況をがらりと変えると思います」と語った。

 フルマラソンの部の優勝者グディッサ・シェンテマ(Gudissa Shentema)さんは、自分にとって今回のレースは自国で走った初のマラソンという意味で歴史的勝利であり、今後のトレーニングの励みになると語った。

 大会の前にエチオピア国内でマラソンツアーをしていたという2位のサイモン・ニュートン(Simon Newton)さんは、約35キロの地点で疲労してきたが子供たちの一団が一緒に走って元気づけてくれ、道路に座っていたサルをよけなければならない場面もあったとレースを振り返り、マラソンはこれまでに40回ほど走った経験があるが20日の大会が1番楽しかったと語った。(c)AFP/Jenny VAUGHAN