【10月18日 AFP】サッカー元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏が、ラファエル・ベニテス(Rafael Benitez)監督の後任としてナポリ(SSC Napoli)の監督就任に意欲を見せた。

 そして、イタリア国内で批判の的になっているACミランの(AC Milan)のマリオ・バロテッリ(Mario Balotelli)については、静かに見守ることがプレーの向上につながると語った。

 1986年のW杯メキシコ大会でチームを優勝に導いたマラドーナ氏は、大手スポーツ紙のガゼッタ・デロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)から18日に特別表彰を受けることになっており、それに先だってベニテス監督やバロテッリについて持論を展開した。

 マラドーナ氏は長きにわたり、税金の未払いに関してイタリア当局と争っていたが、それが解決したことで現在はイタリアでも歓迎される立場になった。同氏は18日に、古巣ナポリとASローマ(AS Roma)との首位攻防戦を観戦する予定となっている。

 2012-13シーズンにワルテル・マッツァーリ(Walter Mazzarri)前監督の下でリーグ2位に入ったナポリは、今季開幕前にイングランド・プレミアリーグのリバプール(Liverpool FC)やチェルシー(Chelsea)を率いたベニテス監督を招へいし、多くの人々から王者ユベントス(Juventus)にとって一番の対抗馬になると目されている。

 そのベニテス監督と比べ、指導者としての経験は明らかに劣るマラドーナ氏だが、選手としては1987年と1990年に、チーム史上その2度しかないリーグ優勝にナポリを導いていることもあり、ベニテス監督の後を継ぐことに意欲を見せている。

 これまでアルゼンチン代表、UAEのアル・ワスルFC(Al-Wasl FC)で監督を務めたマラドーナ氏は、「ベニテスがやめたらナポリを指揮させてもらいたい」と述べ、自身が監督として現在フリーなのは、人々が怖がっているためだと主張した。

「スペインからイタリア、イングランド、ロシアまで、あらゆる場所で監督が交代している。なのに私を監督にすることに怖じ気づく人間がいる。それが現在までに監督をしていない理由だ」

■バロテッリにも言及したマラドーナ氏、「そっとしておいてやるべきだ」

 またマラドーナ氏は、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)から昨季ミランに加入し、おそらくセリエAで最も注目される選手となったバロテッリについても言及し、共感できると語った。

 イタリア代表のバロテッリは、自身がピッチ内外で不当な扱いを受けていると不満を表しており、また一挙手一投足がメディアで取り上げられ、多くが誇張して報じられることについて、ついには今週、放っておいてほしいと訴えた。

 バロテッリの苦境については、イタリアサッカー連盟(Italian Football FederationFIGC)のジャンカルロ・アベーテ(Giancarlo Abete)会長までもが共感を示し、「メディアからの重圧は度を超えている」とコメントしている。

 この上なく波瀾万丈なキャリアで、ピッチの内外を問わず、同じようにメディアの監視の目にさらされてきたマラドーナ氏は、「誰であろうと、自分が望む人生を送れないということはあってはならない。バロテッリはそっとしておいてやるべきだ」とコメントした。

「バロテッリはサッカーをする上での模範ではあるべきだが、どう生きるかの模範ではない」

 マラドーナ氏自身が起こしてきた問題については、すでにいろんな場所で取り上げられている。

 セリエAでプレーしていた時代には、ナポリのマフィアと親交があったといわれ、また1980年代中頃から2004年までコカインを使用していたとも言われている。

 1991年にはドーピング検査で陽性となったことから出場停止処分を受け、さらに1994年のW杯米国大会ではエフェドリンの陽性反応が出たため母国へ送り返された。

 しかしマラドーナ氏は、ナポリ移籍から約30年が経った現在、薬物はすでに過去のことだと語り、「あと4か月で、最後にドラッグを打ってから10年になるんだ」と続けた。

「自分自身と周りの多くの人を傷つけた。現在は子どもたちに、同じようになってはいけないと伝えるようにしている」

(c)AFP/Justin Davis