【10月17日 AFP】急増するサイの密猟の根絶を目指し、ケニアの自然保護当局は16日、国内に生息するサイ全頭の角にマイクロチップを装着すると発表した。

 ケニア野生生物公社(Kenya Wildlife ServiceKWS)の広報官は、AFPの取材に対し「密猟者は高度な手口を使うようになってきている。対抗するためには野生動物を保護する側も、より高度なハイテク技術を導入することが不可欠だ」と述べた。

 ケニアに生息するサイは約1000頭。計画では、1頭ずつサイの角に小さなチップを埋め込む。

 チップとスキャナー5台にかかる費用は総額1万5000ドル(約148万円)で、世界自然保護基金(World Wide Fund for NatureWWF)が寄付した。ただし、野生のサイの居場所を特定してチップを装着する作業にも別途、相当の費用がかかる見込みだ。

 それでも全てのサイを追跡できるようになれば、密猟や密輸ルートに関する重要な情報が得られ、警察が密猟者や密輸業者を告発することも容易になる。「押収された角から密猟事件を特定できるようになれば、裁判での決定的な証拠になる」とKWSは声明で説明している。

 近年アフリカでは密猟が急増しているが、特にサイの角はアジアの闇市場で薬効があるとして珍重されるため、密猟者に狙われることが多い。(c)AFP