【10月16日 AFP】オーストラリア、ニュージーランド、米国、フランス、欧州連合(EU)は16日、南極の海洋保護区設置に関する迅速な合意に達するため、ロシアに対する圧力を強める内容の共同声明を発表した。

 オーストラリアのホバート(Hobart)では23日、24か国とEUが加盟する南極海洋生物資源保存委員会(Commission for the Conservation of Antarctic Marine Living ResourcesCCAMLR)の会合が開幕する。この会合でロシアは、広大な自然保護地域の設置をめぐる合意への鍵を握るとされている。

 CCAMLRは31年前、南極海(Southern Ocean)の自然保護と持続可能な利用を監視することを目的として創設されたが、今年7月、ドイツ・ブレーマーハーフェン(Bremerhaven)で開催された特別会合でロシアは、海洋保護区の設置計画に反対。ロシアにより同計画が阻まれたのは2度目だった。

 会合の参加者らの話によると、ロシアは同委員会に保護区設置を決める法的権限があるのかという疑問を呈したという。大半の加盟国は保護区設置に賛成しているものの、ロシアは設定される漁業制限の負担が大きすぎると主張している。

 主要提案国の外務大臣らが16日に発表した共同声明では、ロシアを名指しすることは避けたものの、「オーストラリア、欧州連合、フランス、ニュージーランド、米国は共同で、今年中に南極海の東南極(East Antarctica)沿岸部とロス海(Ross Sea)に海洋保護区を設置するよう求める」と述べている。

 南極海周辺の海域は、固有種の魚類に加え、クジラやアザラシ、アホウドリやペンギンなど、約1万6000種もの生物が暮らしている。(c)AFP