【10月16日 AFP】世界保健機関(World Health OrganisationWHO)は11日、有害な液体金属である水銀の取り扱いを規制する国際条約が前日に採択、署名されたことを受けて、水銀を使用した体温計と血圧計の全廃を目指すと発表した。

 WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は声明で、「水銀は公害を引き起こす懸念のある10大化学物質の1つ。生態系に拡散し数世代にわたって残り続ける物質で、暴露された人々に深刻な健康被害と知的障害を引き起こす」と述べた。WHOは2020年までに、医療関係者で構成される国際団体ヘルスケア・ウィズアウトハーム(Health Care Without Harm)とともに、水銀を使用した血圧計と体温計の全廃を目指す。

 10日には熊本県水俣市で、約140の国と地域の代表団が集まり、水銀に関する国際条約が採択、署名された。世界で初めて、猛毒物質である水銀の使用を法的に規制するこの条約は、50か国の批准で発効となるが、国連(UN)は発効までに3~4年を要すると見込んでいる。

 この条約は、体温計など、水銀を含んださまざまな製品の使用を2020年までに段階的に廃止することを定めている。また、各国政府が全ての水銀採掘を禁止するまでに15年間の期限を設けている。(c)AFP