【10月9日 AFP】約2800万年前に現在のエジプト上空で彗星が爆発し、火の粉と共に「謎めいた」黒い小石が周囲に降り注いだ──。この謎の小石について研究者らは8日、地球上で初めて見つかった彗星の一部であると発表した。

 ウィトウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand)のデビッド・ブロック(David Block)教授は、「彗星とはちりが混じった氷でできた汚い雪の玉みたいなもので、地球周辺をしょっちゅう飛んでいる。ただこれまでに、地球上で彗星の一部が見つかったことはない」と述べた。

 古代エジプトのツタンカーメン(Tutankhamun)王の胸飾りには、黄色いシリカガラスでできたスカラベのブローチがあった。このシリカガラスは、彗星の爆発で砂が2000度に熱せられてできたものと考えられている。

 彗星の爆発が残したものはシリカガラスだけではなかった。サハラ砂漠に埋もれていた黒い小石が、地球上で初めて見つかった彗星の一部だとウィトウォーターズランド大学が声明で述べた。

 ヨハネスブルグ大学(Johannesburg University)のジャン・クレーマーズ(Jan Kramers)教授によると、地球科学者、物理学者、天文学者からなるチームが1996年に見つかった黒い小石を調べた。チームのダイヤモンドの研究者が、爆発の衝撃により小石の表面に微細なダイヤモンドが付着していることを発見したが、この研究では、この小石自体が特別なものであることが判明した。

 約30グラムの小石には、地球外の化学成分が含まれていたが、それは隕石に含有されているようなものとは明らかに違った。クレーマーズ教授によると、隕石では約3%の炭素含有率が黒い小石では約65%だっとという。

 ウィトウォーターズランド大学は、化学分析から研究者らは「黒い小石が人類初の彗星核のサンプルであるとの、逃れることのできない結果」にたどり着いたと述べている。

 彗星の物質はこれまで、大気圏に浮かぶちり、もしくは南極の氷に存在する炭素を含むちりでのみ見つかっていた。

 小石は、古代エジプトの著名な天文学者にちなみヒュパティア(Hypatia)と名付けられた。これまで小石は1個しか見つかっていないが、彗星の爆発の影響は広範囲に及んでいるため、多くが未発見のままであると考えられている。

 ブロック教授は、この小石が我々の住む惑星系の起源を探る研究に役立つのではと期待を寄せており、「彗星には、惑星系の起源を探るための秘密が含まれている。今回の発見は、(その)彗星をじかに研究するかつてない機会を与えてくれた」と語った。(c)AFP