【9月29日 AFP】米国の初代大統領ジョージ・ワシントン(George Washington)の記念図書館が、退任から200年以上を経てついに開館した。

 首都ワシントン(Washington D.C.)から約25キロ離れたバージニア(Virginia)州マウントバーノン(Mount Vernon)にあるワシントンの旧邸宅・庭園の敷地内に完成した「ジョージ・ワシントン研究フレッド・W・スミス・ナショナルライブラリー(Fred W. Smith National Library for the Study of George Washington)」で27日、開館を祝う式典が開かれた。

 研究施設としての機能も併せ持つこの図書館は、ワシントンの蔵書約1200冊の一部、103冊のほか、ワシントンに関連のある当時の刊行物約2000点、手書きの文書約6000点、その他の著作物や新聞など約1万2000点が収められている。膨大な蔵書には百科事典や詩集、農業書、喜劇、戯曲なども含まれる。

 15歳ごろまでしか正式な教育を受けず、その後の勉強は本に頼るところが大きかったワシントンは、浩瀚(こうかん)な蔵書に大いに感銘を受けたのだろう。

■明るく開かれた館内

 約4000平方メートルの敷地に建設された3階建ての図書館は、明るい色調の新古典主義様式の石造りの建物。ワシントンが暮らし、生涯を終えた邸宅のすぐ近くにある庭園の中央に位置している。

 閲覧室にはワシントンのほか、建国の父ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)や第3代大統領トーマス・ジェファソン(Thomas Jefferson)など、ジョージ・ワシントンに近い時代を生きた5人の胸像がある。希少な書籍や手書き文書は、閲覧室に隣接する窓のない部屋に保管される。

 収蔵品の中で特筆すべきは、ワシントン自身が書き込みを入れた法令や米国憲法だ。昨年行われたオークションで、米国の文書としては史上最高額となる約980万ドル(約9億6000万円)で落札された。

 会議やセミナーを開くこともできるこの記念図書館の建設費は約1億640万ドル(約104億5000万円)。すべて民間からの寄付で賄われた。(c)AFP