■国内向けゲームが人気の日本のゲーム市場

 人気漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」のキャラクターを使ったゲームのヒットが示すように、日本のゲームの多くはアニメや映画、音楽、テレビ番組などの人気キャラクターを中心に制作されている。

 たとえば、バンダイナムコゲームス(Namco Bandai Games Inc.)の人気恋愛シミュレーションゲーム「AKB1/149 恋愛総選挙」は、外国ではほとんど知られていないヒット作だ。AKB48は日本では大人気のアイドルグループだが、広報課の本多俊明(Toshiaki Honda)氏は「海外には向かないですね」と語る。

 また、ソーシャルゲーム大手グリー(Gree)の荒木英士(Eiji Araki)氏は、ゲームショーの講演で「USで好まれるキャラクターやビジュアルは違うということを学びました」と発言している。

■携帯ゲーム機と据え置きゲーム機の「ガラパゴス現象」

 この日本のゲーム市場の特異性について、企業がほぼ国内市場のみに注力することを指す「ガラパゴス現象(Galapagos Syndrome)」を顕著に表していると見る向きもある。日本では、国外で爆発的な売上を記録したiPhoneGalaxyなどのスマートフォン(多機能携帯電話)がヒットするまで、日本の携帯キャリアは国産の折り畳み式携帯電話に注力していた。

 iPhoneの国内人気は依然として強いが、都内の地下鉄に乗ると、もう1つの日本のゲーム市場の特徴がみてとれる──携帯ゲーム機の人気だ。通勤電車に乗る人々が暇つぶしに携帯ゲーム機で遊ぶ光景はよくみることができる。また家庭では、PC用ゲームの人気が高まっている海外と比べて、日本は依然として据え置き型ゲーム機が人気だ。

■消費者は「自己表現より現実逃避」か

 ゲーム倫理規定団体のCERO(コンピュータエンターテインメントレーティング機構、Computer Entertainment Rating Organisation)のある幹部は、「日本の消費者は、暴力、反社会的表現や過激な性的表現を含んだものではなく、ファミリー向けのゲームを好む傾向にある」と分析する。インターネット関連企業のGMOクラウド(GMO Cloud)の報告書はこの違いを「自己表現よりも現実逃避」と説明している。

 それが本当かどうかは別として、「グランド・セフト・オート」は、任天堂(Nintendo)のヒット作「とびだせ どうぶつの森」と比べれば間違いなく暴力的だ。

■GTAVは日本で売れるか

 5年前に発売された前作「グランド・セフト・オート4」は発売初週に全世界で5億ドル(約500億円)の売上を記録した。発売されたばかりの最新作も同様の売れ行きを示している。

 コンサルタント会社インターラクト(InteractKK)の平林久和(Hisakazu Hirabayashi)氏は、グランド・セフト・オートの最新作が日本市場でそれなりの成功を収める可能性はあると分析している──少なくとも、欧米産のゲームとしては。(c)AFP/Kyoko Hasegawa