【9月21日 AFP】2012年に現役復帰した米大リーグ(MLB)、ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)のアンディ・ペティット(Andy Pettitte)が20日、今シーズンをもって二度目の引退をすると発表した。

 現在41歳のペティットはヤンキースの1996、1998、1999、2000、2009年ワールドシリーズ制覇に貢献した名投手。2005年のヒューストン・アストロズ(Houston Astros)在籍時を含めると、ワールドシリーズで通算8試合に登板したことになる。

 またペティットは、ヤンキース史上歴代最多勝利記録を持つホワイティー・フォード(Whitey Ford)氏と18勝差の歴代3位となる球団通算218勝を記録している他、ポストシーズンでは44試合に先発して276回2/3を投げ、メジャー史上最多となる19勝を挙げている。

 レギュラーシーズン終了が10日後に迫る中、ペティットは「シーズン終了前に引退を発表するのは、どれだけファンの皆さんの応援に感謝しているか、私がこのユニホームを着ている間に伝えたかったからだ」と語った。

「現役として残された間に、ヤンキースでの時間を特別なものにしてくれたファンに向かって帽子を取ってありがとうと言いたい。私はグラウンドで全てをやり尽くした。引退すべき時だ。心身ともに疲れ切った。そういう状態に達したからこそ引退を望むんだ」

 球団の通算最多奪三振記録保持者のペティットは、既に今シーズン限りでの引退を表明しているヤンキースのリリーフエース、マリアーノ・リベラ(Mariano Rivera)と時を同じくしてグランドを去ることとなる。

 ペティットは22日のサンフランシスコ・ジャイアンツ(San Francisco Giants)戦で、ヤンキースタジアム(Yankee Stadium)での最後の登板に臨むと見られているが、同試合はMLB史上最多セーブ記録を持つリベラの引退マッチとなる。

「引退発表をためらっていた理由の一つに、22日に行われるマリアーノの引退試合の妨げになりたくなかったことがある」とペティットは言う。

「22日は彼のための日だ。私にとって、そして私のキャリアにとって彼の存在は非常に大きい。だから彼への注目を少しでもそぐようなことはしたくなかった」

 ペティットは、自身が少年期から大学までを過ごしたテキサス(Texas)州で27日から29日にかけて行われる、今季レギュラーシーズン最終戦、アストロズとの3連戦のいずれかで現役最後の登板を務める可能性がある。

 メジャーリーガーとして活躍した18年の間にペティットはヤンキースとアストロズに在籍し、両チームで255勝152敗、防御率3.86という通算成績をマークしている。アストロズ在籍中は84試合に登板し、37勝26敗、防御率3.38を記録した。

 今シーズンはここまで28試合で投げ、成績は10勝10敗、防御率3.93となっている。17日にはトロント・ブルージェイズ(Toronto Blue Jays)戦に先発し、6回2/3を投げて6安打1失点に抑えたが、チームは0-2で敗れた。

■ドーピング告白、初めての引退、現役復帰

 ペティットは短期間にわたって禁止薬物を使用した過去を持ち、後にドーピングの事実を認めている。

 2008年に行われた米下院監視・政府改革委員会(House Committee on Oversight and Government Reform)の公聴会でペティットは、2002年にけがの治療の効果を上げるためヒト成長ホルモン(Human Growth HormoneHGH)を2度使用した他、2004年にも運動能力向上薬を2度使ったと打ち明けた。

 しかしペティットが悔恨と謝罪の意を表明したことが、後にドーピングが明らかになった選手たちの告白を促すきっかけとなった。

 2011年、ペティットはマウンドで闘志が湧かないことを理由に一度現役を引退したが、2012年現役に復帰。ヤンキースと250万ドル(約2億4800万円)で契約し、同年11月には1200万ドル(約11億9200万円)で2013年シーズンの単年契約を結んでいた。(c)AFP