【9月13日 AFP】北朝鮮が核兵器の増強を目指し、老朽化が進むプルトニウム原子炉を再稼働させた疑いが報じられたことを受け、ロシアのある外交筋は12日、「大規模な人災」が発生する恐れがあると警告した。

 米韓研究所(US-Korea Institute)の研究者が11日、寧辺(Yongbyon)にある1986年完工のこの原子炉の横の建物から白い蒸気が立ち上る様子が、8月31日撮影の衛星写真で確認できると報告していた。

 同外交筋は露インタファクス(Interfax)通信に対し、「最大の懸念は、結果として大規模な人災が引き起こされる可能性が非常に高いことにある。この原子炉は悪夢のような状態にあり、設計は1950年代に遡る」と述べ、「仮に大規模人災は免れたとしても、朝鮮半島にとって甚大な被害をもたらす恐れがある」と指摘した。しかし、2007年に一時停止された同施設が実際に再稼働されたのかどうかは把握していないと述べ、白い蒸気は「発電機の単なる試験という可能性もある」ことも示唆した。

 また米国のグリン・デービース(Glyn Davies)北朝鮮担当特別代表も同日、東京(Tokyo)で日本の外務省高官との会談後に報道陣に対し、「北朝鮮が5メガワットのプルトニウム原子炉を再稼働したという報道が事実なら、非常に深刻な事態」であり、「国連安全保障理事会(UN Security Council)決議と2005年の6か国協議後の共同宣言で定めた北朝鮮の義務に大きく違反することになる」と述べた。

 一方、オーストリア・ウィーン(Vienna)にある国際原子力機関(International Atomic Energy Agency)の報道官は、北朝鮮が2009年以降査察の受け入れを拒否しているため確認が取れないとしながらも、「報道は認識している」として、「北朝鮮の核活動は、衛星写真分析など利用可能な手段を用いて監視を継続していく」と話した。(c)AFP/Anna MALPAS