【9月12日 AFP】フランス語圏とオランダ語圏の対立が続くベルギーで、険悪な双方の関係を一層悪化させる事態になっている。その原因は、中国から15年の期間限定で貸与されることになった2頭のパンダだ。

 オランダ語、フランス語、ドイツ語の言語別に3つの「共同体」がある連邦国家ベルギーを束ね、自身はフランス語を話すエリオ・ディルポ(Elio Di Rupo)首相は11日、訪問先の中国で李克強(Li Keqiang)首相からパンダ貸与の約束を取り付けた。

 動物園にとっては確実な集客が見込めるパンダはフランス語が使われている南部ワロン地域(Wallonia)にある動物公園ペリダイザ(Pairi Daiza)で飼育されることになり、民間企業である同動物公園の株価は数ポイント上昇した。

 北部フラマン地域の港湾都市アントワープ(Antwerp)の中心部にある国内最古の有名な動物園アントワープ動物園(Antwerp Zoo 1843年開園)は、20年前に開園したばかりのペリダイザに負けたことで大いに憤慨している。

 さらに、ディルポ首相はかつてペリダイザがある地区からそう遠くないモンス(Mons)の市長を務めていたことから、フラマン地域の分離独立を主張する新フランドル同盟(N-VA)のズハル・デミル(Zuhal Demir)議員が、首相が「えこひいき」でパンダを飼育する動物園を選んだと批判。アントワープ動物園の憤りは政治的な問題に発展した。

 首相府は、アントワープ動物園はペリダイザとは異なり、パンダの飼育を申し出なかったと主張してこうした批判を一蹴。一連の論叢は全国紙やテレビ、ラジオのニュースでも大きく取り上げられた。

 国内各紙は、街の中心部にあり主要な鉄道駅にも近いアントワープ動物園ではパンダの飼育スペースが狭くなる可能性を指摘している。一方のペリダイザは「四川(Sichuan)省の環境を完全に再現した園内の中国庭園に超モダンなパンダ飼育施設を建設する」計画で、すでに作業に着手したという。(c)AFP/Claire ROSEMBERG