【9月4日 AFP】プロの自転車競技選手は、路上での悲惨な衝突事故や、危険な運動能力向上薬物によって早死にしやすいというのが世間のイメージだが、男性のプロ選手は、同世代の一般男性よりも長生きする可能性が高いという新しい調査結果が3日、オランダ・アムステルダム(Amsterdam)で開催された欧州心臓病学会(European Society of Cardiology)の年次総会で発表された。

 仏パリ心臓血管研究所(Paris Cardiovascular Centre)のエロワ・マリヨン(Eloi Marijon)氏率いる研究チームが、自転車ロードレースの最高峰ツール・ド・フランス(Tour de France)のフランス人参加選手を対象に行った調査によると、男性のプロ自転車競技選手は、同世代の一般人と比較して、平均で何と6.3年も長生きする可能性が高いという。

 研究チームは、1947年以降にツール・ド・フランスで少なくとも1度は完走した経験のあるフランス人選手合計786人の寿命を調べて、平均的なフランス人男性の寿命との比較を行った。

 2012年9月1日の時点で、調査対象の選手786人のうち、208人がすでに死亡していた。

 調査の結果、このグループの死亡率は、一般人グループの死亡率よりも41%低いことがわかった。がんと呼吸器系疾患による死亡率は、それぞれ44%と72%低く、心血管系での死亡率は3分の1低かった。

 自転車競技では、1950~60年代のアンフェタミン(amphetamine)、1970~80年代のアナボリック・ステロイド(anabolic steroid)、1990年代以降のエリスロポエチン(EPO)や成長ホルモン(HGH)といったドーピングが行われた時代が3回あるが、それにもかかわらず、こうした長生きの傾向が確認された。ただし、1990年以降のドーピング時代のデータは暫定的であり、この傾向を確かめるにはさらなる時間が必要、と研究チームは注意を促している。

 運動選手には、習慣的な運動を引退後も継続して行う人が多く、喫煙者もほとんどいないので、自転車競技選手の長生きの傾向は、健康的な生活様式によって部分的に説明できるかもしれないと研究は述べている。(c)AFP