【8月30日 AFP】ロシアで、女性下着を身に着けたウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相を描いた絵画が警察によって押収された事件で、作者のロシア人画家は29日、フランスへの亡命を申請したことを明らかにした。

 ロシアの警察当局は28日、来週の主要20か国・地域(G20)首脳会議の開催地である北西部サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)で開かれていた美術展を強制捜査し、女性用下着のスリップを着たプーチン大統領と、露出度の高い女性用ショーツをはいて胸にブラジャーを着けたメドベージェフ首相を描いた絵画などを押収した。

 パリ(Paris)から電話取材に応じた作者のコンスタンチン・アルトゥニン(Konstantin Altunin)氏(45)は、フランスへの政治亡命を申請し、現在は必要書類を集めているところだと語った。

 アルトゥニン氏は、27日夜に美術展が中止に追い込まれ、主催者らが警察に拘束され、夜通しで聴取を受けたことを知ると、すぐにロシアを離れたという。同氏によると、警察は最近開館した「権力者の美術館」で開かれたこの美術展を「過激派」と呼んだといい、同氏は自身が刑事責任を追及されるのではないかと恐れている。

 自身の作品については、当局はユーモアをもって受け止めてくれるだろうと考えていたため、強制捜査には衝撃を受けたという。「彼らはただ『気に入らない』と言って、美術館を閉鎖した。こんな後進的な出来事は、他の国ではあり得ないと思う」

 アルトゥニン氏がこの絵画を制作したのは、首相だったプーチン氏が大統領だったメドベージェフ氏との役職交換の意思を示した2011年だという。「全く悪気のない皮肉だ」と同氏は説明した。

■反同性愛法推進議員描いた絵画も押収

 強制捜査ではまた、地元議員のビタリー・ミロノフ(Vitaly Milonov)氏を描いた絵画も押収された。ミロノフ議員は、今年にプーチン大統領が署名して成立し、議論を呼んでいる未成年に対する「同性愛のプロパガンダ(宣伝)」を禁止する法案を推進したことで知られているが、この絵画の中でミロノフ議員は、同性愛者の権利擁護運動を象徴する虹色の旗を掲げた姿で描かれていた。(c)AFP/Marina KORENEVA