【8月29日 AFP】ロシア警察は28日、サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)で開催中の美術展を強制捜査し、女性下着を身に着けたウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相の肖像画とされる絵画4点を押収したと発表した。

 この美術展はロシアの画家コンスタンチン・アルトゥニン(Konstantin Altunin)氏の個展で、強制捜査後に中止された。警察によると、同展の内容が法律に違反しているとの通報が市民から寄せられたという。

 押収された絵画の1点は、スリップを着たプーチン大統領が、豊かな胸をブラジャーからのぞかせ小さな女性用ショーツをはいたメドベージェフ首相の髪をとかしている姿を描いている。

■反同性愛法にも関連?

 ロシアではプーチン大統領の肝入りで先月、未成年者に「同性愛のプロパガンダ(宣伝)」を広めることを禁じる法律が成立し国際的に物議を呼んでいるが、アルトゥニン氏の個展では同法をはっきりと取り上げた表現があった。ただ、警察は個展中止の法的根拠を明確にしてはいない。

 個展が開かれていた「権力者の美術館」はこの夏オープンしたばかりの小さな私設美術館。オーナーのアレクサンドル・ドンスコイ(Alexander Donskoi)氏はAFPの取材に、警察はカラシニコフ銃を手に強制捜査にやってきて、同氏やアルトゥニン氏に過激思想の容疑がかかっていると述べたと語った。サンクトペテルブルクでは来月、主要20か国・地域(G20)首脳会議が開かれるが、警察はドンスコイ氏らに対し、G20開催前にこの問題について騒ぎ立てないほうがいいと警告したという。

 ドンスコイ氏によると、個展が中止となった後、アルトゥニン氏は自宅に警察が来ていると聞き、逮捕を恐れてデンマーク行きのチケットを購入し、ロシアを出国。28日までにフランス入りしたという。(c)AFP/Marina KORENEVA