【8月27日 AFP】米紙ニューヨークタイムズ(New York Times)が25日に伝えたことろによると、小説「ライ麦畑でつかまえて(The Catcher in the Rye)」で知られる米国の作家、故J・D・サリンジャー(J.D. Salinger)氏の未発表作品のうち少なくとも5作品が新たに出版される見込みだという。

 サリンジャー氏の作品が最後に発表されたのは1965年。同氏は人前にめったに姿を見せず、2010年に91歳で亡くなるまで米北東部ニューハンプシャー(New Hampshire)州で半世紀近くひっそりと暮らしていた。近しい関係者らは、同氏が執筆活動を続けていたと述べているが、何を執筆していたのかは長年謎に包まれていた。

 報道によると、サリンジャー氏は自分の死後、少なくとも5作品を発表するよう遺言していたとされる。情報源になっているのは、映画脚本家・プロデューサーとして知られるシェーン・サレルノ(Shane Salerno)氏が製作、9月に公開予定の新作ドキュメンタリー映画「サリンジャー(Salinger)」と、米出版社サイモン&シュスター(Simon & Schuster)から出版が予定されている関係者200人以上にインタビューした720ページの同名伝記で、ともに2人の匿名人物の言葉を引用している。2人はお互いに面識がないとされるが、死後の作品発表の手筈についてはそれぞれ知っていたという。

 未発表作品のうち1作品は、「フラニーとゾーイー(Franny and Zooey)」などサリンジャー氏の小説に登場するグラース一家に関する新たな物語だという。またこれまでにも存在は知られていた未発表の短編「The Last and Best of the Peter Pans」も5作品の中に含まれている。さらに自身の最初の妻との関係に基づいた小説や、第2次世界大戦の体験に基づいた短編にも登場する「ライ麦畑でつかまえて」の主人公、ホールデン・コールフィールド(Holden Caulfield)を描いた作品もあるという。(c)AFP