【8月23日 AFP】内戦下のシリアで、政権側が21日に首都ダマスカス(Damascus)近郊で化学兵器を使用した疑いが指摘されていることを受け、国連(UN)は22日、政権側に対し、国連の専門家による調査を認めるよう正式に要請した。また潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長は、同国への特使派遣も決定した。

 反体制派の統一組織「シリア国民連合(Syrian National Coalition)」は、首都の南西にある反体制派が制圧する町で政権側が毒ガスを使用し、1300人以上が死亡したと主張している。

 一方の政権側は、化学兵器の使用を否定。ある治安当局高官は、同じく化学兵器の使用が疑われる3か所を調査するため国連チームがシリア入りしているさなかに化学兵器を使用することは「政治上の自殺行為」だと述べている。

 人権活動家らがインターネット上で公開した化学兵器使用による被害を写したとされる動画は、世界中に衝撃を与え、各地で非難の声を生んでいる。ある動画には、口から泡を吹いている人や、地面に並べられた多数の遺体が写されている。別の動画には、1人の医師が子どもたちの蘇生を試みる中、他の人々が人工呼吸を受ける様子が捉えられている。

 これら動画の信憑性は確認されていないが、子どもたちの遺体が写された最も衝撃的な写真の1枚をAFPが特殊なソフトウエアを用いて分析したところ、画像処理の痕跡はなく、写真の説明通り8月21日に撮影されたものであるという結果が出ている。(c)AFP