【8月20日 AFP】約5000年前にエジプトの墓地に埋葬されたとみられる遺体が身に着けていた装身具に鉄隕石(いんせき)が使用されていたとする研究論文が19日、考古学誌ジャーナル・オブ・アーキオロジカル・サイエンス(Journal of Archaeological Science)に掲載された。鉄を使用した工芸品としては、これまでに発見された中で最古という。

 研究チームは、英考古学者らが1911年に下エジプト(ナイル川河口のデルタ地帯)の村で発見したビーズを高性能スキャナーで分析。その結果、使用されていた金属は、宇宙から飛来した岩石に含まれていたものであることがわかったという。

 紀元前3200年頃に建設されたとみられる2か所の墓地から発見された9粒の小さな鉄隕石のビーズは、地球上に存在するラピスラズリ、めのう、金などのめずらしい鉱物と共にネックレスに加工されていた。鉄隕石は、地球上の鉄とは異なる組成を持つ合金だという。

 研究チームは、「中性子即発ガンマ線放射化分析」と呼ばれる非破壊検査を行って、鉄隕石の成分の特性を分析。その結果、地球外から飛来した物質にしか見られないニッケル、リン、コバルト、ゲルマニウムなどが含まれていたという。

 一方、X線スキャナーによる分析では、鉄隕石を繰り返し熱してたたくことで、死者のための高価な装身具を作っていたことがわかった。研究チームは、紀元前4000年~同3000年の間に、エジプトですでに鍛冶技術が発達していたことを示すものだと述べている。(c)AFP