【8月14日 AFP】イタリアとアルゼンチンのサッカー国際親善試合を14日に控え、試合を観戦予定のフランシスコ(Francis)法王が13日、どちらの国を応援すべきかで身を引き裂かれる思いだと冗談を述べた。

 リオネル・メッシ(Lionel Messi)やマリオ・バロテッリ(Mario Balotelli)といったスター選手の謁見を受けたアルゼンチン出身の法王は、「難しい問題だ。親善試合で良かったよ」と語った。

 ローマのスタディオ・オリンピコ(Olympic stadium)での親善試合を控え、先立って行われた謁見には代表選手のほかにイタリアのクラウディオ・チェーザレ・プランデッリ(Claudio Cesare Prandelli)監督、アルゼンチンのアレハンドロ・サベジャ(Alejandro Sabella)監督も参加した。

 アルゼンチン1部リーグのサン・ロレンソ(San Lorenzo)のファンであることを公言する法王は、両チームの選手に対し、それぞれの知名度を最大限に生かし、ファンにとっての模範となることを求めた。

「君たちはとても有名だ。人々は君たちの真似をする。ピッチ内での行動も、ピッチ外の行動も。君たちには社会的責任がある」

 また法王は、たびたび問題行動が取りざたされるバロテッリを引き合いに出し、「ここバチカンでは、私も皆から行動に問題があると言われるがね!」と述べた。

 フランシスコ法王は、サッカーでは「美しさ、友愛、自分よりも他人の幸福を願うこと」が大切だと強調している。

「それがなければ、たとえ勝ったとしても、試合の意義は大きく失われる。サッカーでは個人主義の出る幕はなく、すべてはチームのためにあるべきだ」

 負傷によりイタリア戦を欠場するメッシは、謁見後の記者会見で法王の言葉を支持し、「人生と同様に、ピッチ上でもチームメートと対戦相手への敬意を持つことは、すべてにおける基礎だ」と述べた。

「僕たち選手としては、(法王の)メッセージを広め、その願いに応えるためにも、ピッチで美しい試合をしなくてはならない」

 法王はまた、サッカーで頻繁に取り沙汰される暴力と金の問題には関与しないよう警告している。

 法王は、「サッカーはビジネスになった。しかしスポーツの本質を見失うことはないよう心がけてほしい」と述べ、フーリガンによる暴動や、家族連れのファンをスタジアムから遠のかせる原因となっている対立の文化に終止符を打つことを求めた。

 両チームはそれぞれ、法王の名前の入ったシャツをプレゼントし、さらにアルゼンチンは銀の花瓶を、イタリアはオリーブの苗木を手渡した。

 謁見の締めくくりに法王は「私のために祈ってほしい。私も神によって定められた『ピッチ』で、すべての人々のために誠実かつ勇気ある試合をプレーできる」と述べた。

 イタリアのGKジャンルイジ・ブッフォン(Gianluigi Buffon)は、「永遠に心に残る一日になった」と語った。

「特別な法王を迎えた僕たちは幸運だ。あの方がいれば、今まで口にされるばかりで行動をともなってこなかった言葉も、実現できるのではないかと信じられる」

(c)AFP