【8月9日 AFP】米首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)のスミソニアン国立動物園(Smithsonian National Zoo)で5日、希少種スマトラトラの双子の赤ちゃんが誕生していたことが、同動物園の8日の発表で分かった。絶滅の危機にあるスマトラトラの保護に向けた大きな前進だと同動物園は話している。

 スマトラトラの赤ちゃんは、母親トラの「ダマイ(Damai)」と、同じ動物園で飼育されている12歳の雄トラ「カビ(Kavi)」との間に生まれた。ダマイにとってはこれが初めての出産。

 動物園の発表によると、赤ちゃんトラの目はまだ開いていないが、おっぱいを飲んだり、「ジャングルジムで遊んでいるかのように」母親の体の上を這いまわったりしているという。

 同動物園の公式サイトでは、暗い飼育室の中にいる親子を写したウェブカメラの白黒映像を見ることができる。8日朝の時点では、3頭が歩き回ったり寝転んだりしている様子が映し出されていた。

 同動物園の広報担当者はAFPに対し、人間はまだ赤ちゃんトラに近づいておらず、あと数週間はこのまま様子を見守るつもりだと語った。

 同動物園は声明で、「スマトラトラの赤ちゃん2頭はとても可愛いというだけでなく、保護活動の上での大きな成功例だ。野生のスマトラトラが500頭以下に減少している今、赤ちゃんトラの誕生は、絶滅が危惧されている同種の保護に向けた大きな前進となった」と述べている。

 世界自然保護基金(World Wildlife Fund for NatureWWF)によると、野生のスマトラトラの唯一の生息地であるインドネシアのスマトラ(Sumatra)島では、密漁や森林破壊によって種の存続が脅かされているという。(c)AFP