【8月8日 AFP】インドネシア・スラウェシ(Sulawesi)島の空港で6日夜、着陸した旅客機が牛にぶつかり滑走路をオーバーランする事故が発生した。乗客110人に大きなけがはなかった。空港当局が発表した。

 事故が起きたのは、ゴロンタロ(Gorontalo)州にあるジャラルディン(Jalaluddin)空港。格安航空会社ライオン航空(Lion Air)のボーイング(Boeing)737-300型機が着陸した際、滑走路に迷い込んでいた牛3頭のうちの1頭に衝突したという。

 この牛は旅客機の車輪に巻き込まれたとみられ、パイロットは国営アンタラ(Antara)通信に「肉が焦げるにおいがした」と語っている。

 パイロットの話によると、当初は滑走路に何匹かの犬がいると思ったが「近づいてみたら牛が3頭、滑走路の真ん中をうろうろしていた」という。

 オーバーランした旅客機は、尾部だけを滑走路に残した状態で草地に突っ込んで停止したが、機体に大きな損傷はなかった。運輸省の報道官がAFPに語ったところによると、乗客は全員、安全に旅客機を降りた。

 ただし、この事故で空港が閉鎖されたことから、イスラム教のラマダン(断食月)明けの祭り「イード・アル・フィトル(Eid al-Fitr)」のために帰省する人たちの足には影響が出た。7日には小型機の離陸が可能になったものの、オーバーランしたライオンエア機はまだ滑走路の端に残されているという。

 1万7000以上の島からなるインドネシアは、移動の足を空の便に大きく依存している。しかし、安全性についてはアジア域内でも最悪の記録を残している国の1つだ。4月にも、乗客108人を乗せてバリ(Bali)島のデンパサール国際空港(Bali International Airport)に着陸したライオン航空のボーイング737型機が滑走路上の停止位置を通過してそのまま海中に落下し、数十人の負傷者を出す事故が起きている。

 なお、今回の事故についてライオン航空は、今のところ何もコメントしていない。(c)AFP