【8月6日 AFP】(一部更新)広島に原爆が投下されてから68年となる6日、広島市の平和記念公園(Hiroshima Peace Memorial Park)で平和記念式典が行われた。

 被爆者やその家族、政府関係者や外国からの参列者ら数万人が参列し、原爆が投下された午前8時15分に参列者全員で黙とうした。

 1945年8月6日に米軍のB-29爆撃機「エノラ・ゲイ(Enola Gay)」が投下した原爆によって、その年の12月までに約14万人が死亡したと推定されている。広島に原爆が落とされた3日後には長崎に原爆が投下された。

 連合国側は広島と長崎の原爆は、日本に降伏を促して戦争を早期に終結させ、その年に計画されていた本土上陸作戦で数百万人の戦死者が出るのを回避するために必要だったと以前から主張している。

■「暮らしと安全を最優先にした責任あるエネルギー政策を」 広島市長

 広島市の松井一実(Kazumi Matsui)市長は式典で行った平和宣言の中で、「『絶対悪』である核兵器の廃絶と平和な世界の実現に向け力を尽くすことを誓い、原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げます」と述べた。

 昨年の式典には、広島への原爆投下を許可した当時のハリー・トルーマン(Harry Truman)大統領の孫、クリフトン・トルーマン・ダニエル(Clifton Truman Daniel)さんが参列した。トルーマン元大統領の親族が平和記念式典に出席したのは、この時が初めてだった。

 原爆を生き延びた人たちの多くは、原爆で瞬時に数万人の命が奪われたうえ、その後も放射能の影響で多くの人が死んでいったと指摘し、核の軍事利用や原発に反対している。さらに2年前の東日本大震災による東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故を受けて、日本では反原発の機運が高まった。

 福島第1原発に対する懸念は依然として高いままだ。最近も、汚染水の封じ込め作業が続く中で高濃度汚染水が海に漏れていることを東京電力が初めて認めた。

 松井市長は平和宣言のなかで、「この夏も、東日本では大震災や原発事故の影響に苦しみながら故郷の再生に向けた懸命な努力が続いています。復興の困難を知る広島市民は被災者の皆さんの思いに寄り添い、応援し続けます」と述べるとともに、日本政府には、国民の暮らしと安全を最優先にした責任あるエネルギー政策を早期に構築し実行することを強く求めた。(c)AFP/Toru YAMANAKA