【8月2日 AFP】米当局の市民監視プログラムを暴露し訴追された米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者(30)に対し、ロシアは1日、一時的な亡命許可を与えた。これにより同元職員は、5週間以上足止めされてきたモスクワ(Moscow)の空港を離れてロシアに入国した。

 同元職員のロシア人弁護士アナトリー・クチェレナ(Anatoly Kucherena)氏はAFPの取材に対し、「スノーデン元職員はシェレメチェボ(Sheremetyevo)空港を出た。ロシアで1年間有効の一時亡命許可証を受け取ったばかりだ」と語った。同空港の広報担当者も、同元職員が同空港を午後2時(日本時間同日午後7時)過ぎに立ち去ったことを確認した。

 同元職員を支援している内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」が発表した声明の中で、同元職員は一時亡命許可証を発行したロシアへの謝意を伝えた一方で、米国のバラク・オバマ(Barack Obama)政権に対しては国際・国内法のいずれも「全く尊重していない」ことを批判、「しかし最後には法が勝利しつつある」と述べた。

■元職員は「ある安全な場所」に

 クチェレナ弁護士は、スノーデン元職員の今後の居住地については保安上の見地から非公開とされることを明らかにし、同元職員は現在「安全な場所」にいると付け加えた。

 ロシアのテレビ局Rossiya 24のインタビューを受けた同弁護士は、同元職員の一時亡命許可証をスキャンした複写を掲げて見せた。そこには7月31日発行、有効期限2014年7月31日と明記されており、同元職員の指紋も登録されている。

■米国は「極めて遺憾」

 これを受けて米ホワイトハウス(White House)のジェイ・カーニー(Jay Carney)大統領報道官は報道陣に対し「極めて遺憾」と述べ、9月にサンクトペテルブルク(Saint Petersburg)で開催される主要20か国・地域(G20)首脳会議に先立ってモスクワでの開催が予定されているオバマ米大統領とロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領との首脳会談を中止する可能性も示唆した。

 これに対しプーチン大統領の外交政策顧問であるユーリ・ウシャコフ(Yuri Ushakov)大統領補佐官は、この問題が米露関係に影響を与えるべきではないと述べ、懸念される外交関係上の損害を抑制しようとする姿勢を直ちに示した。プーチン大統領自身は、これまでのところコメントしていない。(c)AFP/Stuart WILLIAMS, Maria ANTONOVA