【7月31日 AFP】ミュンヘン地方裁判所は30日、ドイツ・ブンデスリーガ1部のバイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)で会長を務めるウリ・ヘーネス(Uli Hoeness)氏が、脱税容疑で起訴されたと発表した。

 ヘーネス氏の脱税については、検察の数か月に及ぶ捜査が注目を集め、ドイツのスポーツ界と政界を揺るがしていた。

 ミュンヘン上級地方裁判所は声明を発表し、検察から持ち込まれた案件について、裁判の可否を決断する必要があるとの見解を示している。

 裁判所の広報担当者は、「捜査書類の分量や、被告側が起訴に対する回答を1か月遅らせたいと要求し、これが認められた事実を参考に考えると、裁判開始の判断は、2013年9月末以降になると予想されます」と語った。

 また担当者は、判断が下されるまでは、進展に関するこれ以上の詳細を裁判所が明かすことはないとしている。

 欧州スポーツ界で大御所の一人とされている61歳のヘーネス氏は、スイスの銀行口座に資金を隠しているとして捜査対象となり、その過程で3月20日に逮捕され、その後500万ユーロ(約6億5000万円)で保釈されていた。

 渦中の人物となった会長は5月、騒動について謝罪し、当面の間は会長職から退くことを申し出た。しかし取締役会は、1974年のW杯を優勝した西ドイツ代表のメンバーでもあるヘーネス氏の去就について、引き続き捜査の経過を「注視する」としながらも、留任すべきとの決定を下していた。

 ヘーネス会長の脱税が発覚したことで、9月に連邦議会選挙が予定されているドイツでは大きな議論が巻き起こり、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の対立陣営は、首相は富裕層の脱税問題に弱腰だと非難を浴びせている。

 メルケル首相自身は、ヘーネス会長が行ったとされる行為について「失望した」と認めている。

 バイエルン・ミュンヘンは近年、驚異的な躍進を遂げており、2012-13シーズンにはドイツのクラブで初となる欧州カップ戦、リーグ戦、国内カップ戦の3冠(トレブル)を達成した。(c)AFP