【7月30日 AFP】シリア政府は29日、中部ホムス(Homs)で反体制派の支配下にあったハルディヤ(Khaldiyeh)を制圧したと発表した。反体制派が「革命の首都」と呼ぶホムスは内戦の象徴となっている都市で、数か月にわたって激しい攻防戦が続いていた。

 政府軍にとっては、反体制派が重要拠点と位置づけていたホムスのババアムル(Baba Amr)地区を2012年3月に制圧して以来の大きな軍事的成果となった。

 政府軍は6月、レバノンのイスラム教シーア派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)の強力な支援を受けて、ホムス県のクサイル(Qusayr)を反体制派から奪還していた。クサイル奪還で意気上がる政府軍は引き続きヒズボラの支援を受け、1か月前からハルディヤに攻撃を加えていた。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、政府軍がハルディヤを奪還した日は早朝から、同地への攻撃が始まって以来「最も激しい戦闘」があったという。政府軍に包囲されたハルディヤ地区は毎日のように砲撃や空爆が加えられた上、封鎖によって武器だけでなく食料や医薬品も事欠く事態に陥っていた。

■反体制派、南北に分断される恐れも 

 ホムスは首都ダマスカス(Damascus)と、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が属する少数派イスラム教アラウィ派(Alawite)が多い沿岸部の地域を結ぶ経路上にある。ホムス旧市街にある複数の地区は依然として反体制派が押さえているものの、政府軍側はこれらの地区も奪還する構えを見せている。

 ホムスを拠点とする反体制活動家のマフムード・ロウズ(Mahmud al-Lowz)氏はインターネットを介してAFPの取材に応じ、「ホムスが陥落すればシリア北部と南部(の反体制派)が分断されてしまう」と懸念を示した。

 ホムスを拠点にする反体制活動家のアブ・ラミ(Abu Rami)氏も、ハルディヤ陥落は政府軍の砲撃と空爆によるものと認め、同地区の9割が政府軍の支配下に入ったと語った。その一方でラミ氏は、反体制派はハルディヤを失ったがホムス全体を失ったわけではなく、戦いに負けてはいないと強調した。(c)AFP