【7月14日 AFP】米フロリダ(Florida)州中部サンフォード(Sanford)の自衛居住区(ゲートコミュニティー)で昨年2月、黒人のトレイボン・マーティン(Trayvon Martin)さん(当時17)が射殺された事件で、女性6人の陪審団は13日夜(日本時間14日午前)、第2級殺人罪で起訴された自警団員のジョージ・ジマーマン(George Zimmerman)被告(29)に無罪評決を下した。

 ジマーマン被告はかすかにほほ笑んだものの、評決が読み上げられる間、淡々とした表情を見せた。被告の家族は傍聴席で満面の笑みを見せた一方、法廷に被害者マーティンさんの家族の姿はなかった。

 人種問題をはらんでいたため、裁判は全米の注目を集めていた。評決文の読み上げ直後にデボラ・ネルソン(Deborah Nelson)判事は、全地球測位システム(GPS)によるジマーマン被告の監視を退廷後に停止すると述べ、「あなたはこれで裁判所に来る必要はなくなります」と述べた。

 裁判所周辺には、評決を待つ大勢の記者団や群衆が詰めかけた。公正な評決を求めてシュプレヒコールを上げる活動家らもいた。陪審団は12日の審理開始から評決まで、16時間余りを費やした。

 ジマーマン被告はゲートコミュニティー内でマーティンさんを追跡し、口論の末に射殺したとして起訴された。マーティンさんは当時武器を持っていなかった。被告側弁護団は、マーティンさんが被告を地面に組み伏せ、被告の頭部を舗装道路に打ち付けたため、正当防衛のため発砲したと主張していた。

 第2級殺人罪で有罪評決を言い渡された場合、ジマーマン被告は終身刑になる可能性があった。陪審団は、30年以下の禁錮刑が科せられる故殺罪も検討するよう指導されていた。事件をめぐっては、地元警察が当初ジマーマン被告を無罪放免としたことから全米で論争になっていた。(c)AFP