【7月11日 AFP】米ニューヨーク(New York)の連邦地裁は10日、米アップル(Apple)が複数の出版社と談合して電子書籍の販売価格をつり上げ、「不当な取引制限を共謀」したとして、反トラスト法(独占禁止法)に違反したとの判断を示した。アップルは直ちに上訴する方針を明らかにした。

 この裁判は、アップルがタブレット型端末「iPad(アイパッド)」発売前の2009年末~10年初頭の1か月半に、出版社数社と行った契約交渉で提案した「より収入が見込める新ビジネスモデル」をめぐり、米司法省が提訴していたもの。

 アップル側は、同社の電子書籍市場参入で競争が激化しただけだと主張したが、デニース・コート(Denise Cote)連邦判事はこれを一蹴。アップルには、電子書籍の価格競争を終わらせようとする出版社の集団的努力を「促進・助長した」責任があると認定した。また、故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)前最高経営責任者(CEO)による(交渉での)発言が判断を下すにあたり大きな鍵となったと述べた。

 コート判事は、アップルとの契約交渉当時、出版社側は米アマゾン(Amazon)がベストセラー書籍の電子版を9.99ドルで販売している状況に不満を抱いていたが、1社ずつではアマゾンに対抗することはできなかったと指摘。「アップルが構造と環境を整えたことによって出版各社がまとまり、電子書籍の価格競争を排除することができた」との見方を示した。

 損害の範囲については、新たな審理を開いて認定される。司法省は、差し止めによる救済と独立した監視機関の設置命令を求める方針だ。また、米33州がアップルに対し損害賠償請求を予定しているほか、同社を相手取った集団訴訟が起きる可能性もある。(c)AFP/John BIERS