【7月5日 AFP】(一部更新)米当局による監視プログラムや同盟国に対するスパイ行為が物議を醸すなか、仏紙ルモンド(Le Monde)は4日、フランスの情報機関が数年間にわたって国内の電話やパソコンの通信記録を全て傍受していたと報じた。収集した通信記録は、仏情報機関「対外治安総局(DGSE)」本部のスーパーコンピューターに保存されていると伝えている。

 ルモンド紙によると、DGSEは「仏国内のコンピューターから発信された電磁信号と、フランスと国外との間のデータフィードを組織的に収集していた。仏在住者の通信は全て傍受されていた」という。

 収集対象となっていたのは、電話の通話記録、電子メール、携帯電話のテキストメッセージサービス(SMS)、ソーシャルサイトのフェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)の利用記録など。データはスパコン内に「数年間」保存され、複数の情報機関がアクセス権限を持っているという。

 AFPは仏政府当局に問い合わせたが、回答は得られなかった。

 一方、与党・社会党の所属で情報機関の法的枠組みに関する報告書をまとめたJean-Jacques Urvoas議員は、「わたしが把握している実態とは全く一致しない」と声明で発表し、ルモンドの報道を否定した。

 同議員によると、仏市民の通信傍受は法律で規制されており、全国治安盗聴管理委員会(CNCIS)の承認が必要。また、収集したデータも使用後に破棄することが義務付けられているため「仏市民が、法の枠外で大規模かつ恒久的な情報活動の対象となることはない」という。

 フランス政府は、米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)が米国内外で広範囲にわたる監視活動を行っていたことを強く批判してきた。フラソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領は3日、欧州連合(EU)事務所やEU加盟国の大使館がNSAの監視対象となっていたことを受け、米欧自由貿易協定(FTA)交渉の開始延期を要求していた。(c)AFP