【7月2日 AFP】世界最高峰のクラシック音楽家たちが使うピアノを160年以上にわたって製作してきた高級ピアノメーカー「スタインウェイ・アンド・サンズ(Steinway & Sons)」は1日、米投資ファンドのコールバーグ・アンド・カンパニー(Kohlberg & Company)による買収を発表した。

 スタインウェイを所有する米総合楽器メーカー、スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツ(Steinway Musical Instruments)によると、コールバーグは、スタインウェイ株の過去90日の終値平均に33%のプレミアを付けた1株当たり35ドルで株式公開買い付け(TOB)を行う。買収総額は約4億3800万ドル(約440億円)で、買収後は非上場企業になる。

 音色と鍵盤のタッチで極めて高い評価を受けているスタインウェイはこの合意について、自社のピアノの品質を損なうことなく、グローバル経営を築く助けになると述べている。

 合意には45日の猶予期間(ゴーショップ期間)が設けられており、その間、スタインウェイは別の売却先を募ることもできる。

 スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツは、スタインウェイの他、コーン(Conn)やセルマー(Selmer)、ルブラン(Leblanc)、キング(King)、ヤナギサワ(Yanagisawa)などの人気楽器ブランドを傘下に置いている。

 スタインウェイは2011年、同社楽器部門の買収提案を複数受けたことから、戦略的レビューを実施。レビューは、スタインウェイの一部または全体を売却することを評価したものの、株式公開企業でいることが株主価値を高める最善の道だと結論付けていた。

 スタインウェイ株は、1日午前中の取引で15.5%上昇し、35.15ドル(約3500円)を付けた。(c)AFP