【7月1日 AFP】(一部更新)エジプトで、イスラム主義組織出身のムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)大統領の就任1周年を迎えた30日、各地で大統領の辞任を求める大規模なデモが行われた。参加者の数は全国で数百万人に上るとみられ、2011年の革命以来、最大規模の抗議デモとなった。このデモで、これまでに5人の死亡が確認されている。

 首都カイロ(Cairo)では、軍の複数のヘリコプターが上空を旋回する中、歓声を上げるデモ隊がタハリール広場(Tahrir Square)、大統領宮殿周辺の大通りや、市内の他の幾つかの広場に集結した。

 デモは日中には平穏な雰囲気の中で行われていたが、夜になると複数の場所で暴動に発展し、計5人が死亡した。

 カイロでは、イスラム主義組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」本部に詰め掛けたデモ隊が同胞団の支持者らと衝突し、デモ隊の男性1人が死亡、複数が負傷した。現場の様子はテレビで中継され、デモ隊が投石する様子や、爆発物の爆発で火のついた本部建物の映像が伝えらえた。ムスリム同胞団側によると、150人余りのデモ隊が本部への攻撃に参加したという。

 治安当局によると、中部アシュート(Assiut)県では、バイクに乗った武装集団がデモ隊に発砲し、3人が死亡。また首都カイロ南方のベニスエフ(Beni Sueif)県では、大統領支持派と反対派が衝突し、1人が死亡、約40人が負傷した。両事件はともにモルシ大統領が所属していたムスリム同胞団の政治組織、自由公正党(Freedom and Justice Party)の事務所周辺で起きた。

 また反大統領デモは、地中海沿岸都市アレクサンドリア(Alexandria)、ナイルデルタ(Nile Delta)に位置するマンスーラ(Mansura)、メヌフィーヤ(Menuf)、タンタ(Tanta)、マハラ(Mahalla)の4都市、運河都市のスエズ(Suez)とポートサイド(Port Said)、そして大統領の出身地ザガジグ(Zagazig)でも繰り広げられた。

 軍関係筋が匿名を条件にAFPに語ったところでは、抗議デモ参加者の数は全国で「数百万人」におよび、「エジプト史上最大の抗議行動」になったという。(c)AFP