【6月30日 AFP】ペルーの首都リマ(Lima)から北に約300キロメートル離れたエル・カスティーリョ(El Castillo)遺跡の発掘調査を行っていたポーランドとペルーの共同研究チームが28日、1000年以上前の王家の霊廟(れいびょう)から60体を上回る人骨を発見したと発表した。埋葬室からは金や銀、陶器の副葬品約1200個も見つかったという。

 霊廟はインカ帝国の建設以前、7~11世紀に最盛期を迎えた「ワリ(Wari)文化」のものとみられる。発見された中には女王3人の遺骨も含まれていた。

 ポーランド・ワルシャワ大学(University of Warsaw)の考古学者ミウォシュ・ギエルシュ(Milosz Giersz)氏は28日、「ワリ文化の霊廟が見つかったのは初めて。類いまれな発見だ」と語った。

 埋葬室は地下2メートルで見つかり、その上は約33トン分の砂利で覆われていた。面積がおよそ17平方メートルの埋葬室の一方の端で、ワリの王の妻たちのものとみられる遺骨が見つかった。

 遺骨の大半は女性のもので、座った状態で埋葬されていたことから、位の高い女性たちだったことがわかるという。遺骨は金や銀で作られた宝飾品を身に付けており、その近くにも宝飾品を入れた陶器製の器やかごが置かれていた。

 その他、つぼや水差し、彫刻が施された石、儀式用のナイフなども出土した。ギエルシュ氏の夫人で研究者のパトリツィア・プジョントカ・ギエルシュ(Patrycja Przadka-Giersz)氏によると、いずれも保存状態は良好で、文化的価値が非常に高いという。

 同じ研究チームは2010年にも、エル・カスティーリョ遺跡で2度にわたり発掘の成果を上げている。(c)AFP