【6月25日 AFP】スペイン人医師エウフェミアーノ・フエンテス(Eufemiano Fuentes)氏の力を借りてドーピングを行っていたと告白した元自転車選手のヤン・ウルリッヒ(Jan Ullrich)氏が、2000年シドニー五輪で獲得したメダルを剥奪される可能性が浮上した。

 1997年にドイツ人として唯一となるツール・ド・フランス(Tour de France)制覇を果たした39歳のウルリッヒ氏は、24日発売のドイツの週刊誌フォークス(Focus)に対し、「フエンテスからの処置を受けていた」と語ったものの、自己血輸血以外は行っていなかったと明かした。

 これを受け、国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)の副会長を務めるドイツ五輪委員会(German Olympic FederationDOS)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は同国の日刊紙ウェルト(Die Welt)に対し、ウルリッヒ氏がシドニー五輪で獲得した個人ロードレースでの金メダルと個人タイムトライアルでの銀メダルを失う可能性があると語った。

 バッハ会長は、「入念に、細心の注意を払って、再びすべてのことを調べるつもりだ。(ウルリッヒ氏の)告白は、すでにスポーツ裁判所で判決が下された件についての事実を確認するもの以外の何物でも無い」とコメントした。

 ウルリッヒ氏は、2012年2月にスポーツ仲裁裁判所(Court of Arbitration for SportCAS)からドーピング違反で有罪とされ、2005年5月以降の記録を抹消されている。

 バッハ会長は続けて、「しかしながら、いつが開始時期だったかをはっきりさせるつもりだ」と語り、ウルリッヒ氏がドーピングを始めた時期を明確にする調査を行うと明かした。

 IOCの法令上では、メダルの没収は大会から8年間に限られているが、ランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏が今年1月にドーピングを告白した時のように、明確に規定されていない。

 アームストロング氏が1998年からドーピングを行っていたと告白したことを受け、IOCはシドニー五輪の個人タイムトライアルで銅メダルを獲得したアームストロング氏の記録を消去している。(c)AFP