【6月21日 AFP】世界の女性の3人に1人以上がDV(配偶者、恋人などからの暴力)の被害に遭っており、アジアと中東で最もその割合が高いという調査結果が20日、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)より発表された。

 WHOによると、女性に対する暴力の横行とその健康への影響に関して、史上初となる世界規模のデータによる組織的な研究を行った結果、パートナーから虐待を受けている女性の割合は全世界で30%に上るとの結果が得られたという。

 WHOは要因として、被害者が名乗り出るのを妨げるタブーや、医療、司法制度の欠陥、男女間の暴力を大目に見てもよいという考え方などを挙げている。

■アジア、中東では4割近くの女性が被害に

 今回の調査結果は、データを保持する世界81か国から提供された数値から統計的に算出したもので、特定の国を選出して示したものではない。

 虐待の割合が最も高いのはアジアで、バングラデシュ、東ティモール、インド、ミャンマー、スリランカ、タイで収集されたデータによると、被害を受けている女性の割合は37.7%となっている。次いで中東が平均37%、サハラ以南アフリカが36.6%となっている。北米、欧州、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなど高所得国のグループは平均23.2%だった。

 WHOはこうした虐待行為の影響を強調し、全世界の殺人被害女性のうち、パートナーによって殺害された割合は38%に上ると指摘している。

■体の傷は癒えても心の傷は残る

 さらに、暴力の傷跡は、あざが消えて骨折が治った後も長い間残るという。暴力的なパートナーを持つ女性は、虐待を受けていない女性に比べて、うつ病を発症したりアルコール関連の問題を抱えたりする確率が倍増する。

 さらに今回の研究では、虐待された女性が高い確率で、望まない妊娠、中絶、低体重児出産などを経験することが問題点として指摘されている。また虐待女性の子どもは、大人になって暴力を振るったり暴力の被害を受けたりする可能性が高くなるという。(c)AFP