【6月18日 AFP】オランダの首都アムステルダム(Amsterdam)の東にあるアルメレ(Almere)市で昨年12月、17歳以下の少年が出場するユースサッカーの試合でボランティアで線審を務めた男性(当時41)に暴行を加え死亡させたとして10代の7人(当時15~17)とそのうちの1人の父親(51)の8人が殺人などの罪で起訴された事件の裁判で、同国の裁判所は17日、被告のうち7人に故殺で有罪判決を言い渡した。

 被害者のリシャルト・ニーウェンハウゼン(Richard Nieuwenhuizen)さんは、息子が所属するアルメレ市の「バウテンボイース(Buitenboys Club)」と、相手チーム「ニーウスローテン(Nieuw Sloten)」の試合で線審を務めていたが、試合終了直後にニーウスローテン側の選手たちから殴る蹴るのひどい暴行を受けた。頭を複数回蹴られたものの、その日は自力で帰宅した。しかし数時間後に気分が悪くなり、搬送された病院で翌日、家族が見守る中で息を引き取った。

 17日の裁判でアンヤ・ファンホルテン(Anja van Holten)判事は、「裁判所は、被告のいずれについても殺意はなかったものと判断した」と述べた一方、被告7人を故殺と公共の場での暴力、残虐行為で有罪とした。

■「いくらか気持ちに区切り」と遺族

 起訴された中で唯一の成人であるハサンD(Hasan D)被告は禁錮6年、少年のうち5人は未成年者矯正施設での2年以下の禁錮(執行猶予6月)、15歳の少年1人は同じく未成年者矯正施設での禁錮1年執行猶予2月を言い渡された。

 残る1人の少年(15)は故殺については無罪となったが、バウテンボイースのゴールキーパーに対する暴行罪で拘留30日執行猶予17日が言い渡された。一部の被告の弁護人は上訴する構えを見せている。

 被害者の妻サンドラ(Xandra Nieuwenhuizen)さんは公判終了後、裁判所の外で3人の息子たちと腕を組んで記者らの取材に応じ、「厳しい判決が下されたことを嬉しく思います。被告たちが自分たちのしたことを全く認めていなかったのは、私にとって最悪のことでしたから。判決が出たことで、いくらか気持ちに区切りが付きます」と涙をこらえながら話した。

 また、事件を目の当たりにしたニーウェンハウゼンさんの16歳の息子は、「サッカーにまつわる暴力、オランダのサッカーにまつわる暴力はもうたくさんだ」と訴えた。

 日本で昨年開催された12クラブW杯(2012 FIFA Club World Cup)の開幕戦の前には、ニーウェンハウゼンさんの冥福を祈って黙とうがささげられた。(c)AFP/Jan HENNOP