【6月14日 AFP】営利目的の報道機関と同様に、米国の報道分野に大きな影響を及ぼしてきた非営利の報道機関だが、その多くは財政難で苦境に立たされている──米独立系世論調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)のメディア調査部門PEJProject for Excellence in Journalism)が10日、明らかにした。

 1987~2012年の間に設立された「現在も活動する非営利報道機関」としてPEJが特定したのは172団体。これらの報道機関は、慈善団体や個人、思想信条を共有する集団などが設立した。だが、そのうちの93団体を調査した結果、半数以上が生き残りの大きな障害として、マーケティングと資金調達を挙げた。

 報道業界はデジタルプラットフォームへの移行に苦しんでおり、実際に多くの新聞社が失敗している。そのため、報道分野に市民団体を参入させることでニュースを提供し続けるという方策がしばしば議論されるようになった。

 論文の共同執筆者で調査の責任者代理を務めるエイミー・ミッチェル(Amy Mitchell)氏は、非営利報道機関が「成長しており、ニュース提供元として潜在的な重要性を持っているものの、営利報道と全く同じく、財政面で苦境に立たされている」と語る。

 ミッチェル氏によると、非営利報道機関の多くは、長期的な事業を運用するのに資金が不足していると感じているという。また論文の別の共同執筆者、マーク・ジューコウィツ(Mark Jurkowitz)氏は、立ち上げ時に助成金を受けるが、「その資金が枯渇すると、経営的課題に取り組んだり、寄付金を拡大したりするための専門能力や資源に欠ける機関が多い」と指摘した。

 調査の結果、非営利報道機関が存在しないのはわずか9州だった。非営利報道機関のうち21%は調査報道に力を注ぎ、17%は政府関連の報道に注力していた。他にも、外交問題、環境、健康、文化芸術などの分野での取り組みもみられた。

 ただ、課題に直面してはいるものの、非営利報道機関の多くは将来について楽観的だった。81%は、財政問題が5年以内に解決される可能性が「極めて高い」か「ある程度確信がある」と回答した。また、近いうちに新規スタッフを雇用するだろうと回答した団体は40%に上った。(c)AFP/TIMOTHY A. CLARY