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米政府の市民監視プログラム暴露した元CIA職員、「怖くない」

2013年6月10日 16:48 発信地:ワシントンD.C./米国

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米政府の市民監視プログラム暴露した元CIA職員、「怖くない」
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米政府当局による個人のインターネット利用や通話記録の収集を暴露したのは自分だと名乗り出た米政府機関の契約職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏(2013年6月6日撮影、10日入手)。(c)AFP/THE GUARDIAN

【6月10日 AFP】米当局が個人のインターネット利用や通話記録を収集していた問題で、政府による大規模な監視プログラムの存在をメディアに暴露したのは自分だと9日に名乗り出た政府機関の契約職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏(29)は、当局が情報漏えい容疑で捜査する構えを見せる中、「怖くはない」と発言した。

■快適な生活、良心と引き換えに

 米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)で外部請負業者からの出向職員として4年間働いてきたスノーデン氏は、英紙ガーディアン(Guardian)のインタビューに対し、年俸20万ドル(約2000万円)とガールフレンド、順調なキャリア、家族に囲まれた「快適な生活」に3週間前、別れを告げてハワイを後にし、香港(Hong Kong)へ向かったと説明した。「喜んで全てを犠牲にする。米政府が世界中の人々のプライバシーやインターネットの自由、基本的自由権などを破壊するのを認めることは、良心が許さないからだ」と述べた。

 ベトナム戦争に関する米国防総省の報告書、通称「ペンタゴン・ペーパーズ(Pentagon Papers)」を漏えいしたダニエル・エルズバーグ(Daniel Ellsberg)氏や、米政府の外交公電や軍事機密を内部告発サイトのウィキリークス(WikiLeaks)に提供した米陸軍情報分析官ブラッドリー・マニング(Bradley Manning)上等兵と並び、米国史上に残る機密保護違反の一例となったスノーデン氏。勇気づけられた存在としてこの2人の名を挙げ、こう述べている。

「市民の名の下で何が行われ、また市民に対して何が行われているのかを公に知らせたいというのが、私の唯一の動機だ」

■「間違ったことはしていない」

 米ノースカロライナ(North Carolina)州エリザベスシティー(Elizabeth City)で育ったスノーデン氏は、後にNSA本部のあるメリーランド(Maryland)州へ引っ越し、地元のコミュニティーカレッジでコンピューターを専攻した。成績は平凡で、高校の卒業資格に相当する単位は取得したものの卒業はしなかった。2003年に米軍に入隊し、特殊部隊で訓練を受けたが、訓練中の事故で両足を骨折し除隊した。

 NSAに関連する最初の仕事は、メリーランド大学(University of Maryland)構内にあるNSAの秘密施設の警備員で、その後、米中央情報局(CIA)で情報セキュリティー関連業務に従事。情報要員となる正式資格は欠いていたが、優れたIT技術によって昇格し、07年からはスイス・ジュネーブ(Geneva)にCIA要員として外交官資格で駐在する地位を与えられた。09年に民間で働くためCIAを離職。民間請負業者を通じ、在日米軍基地にあるNSAの施設で任務に就いた。

 ガーディアンのインタビュー映像の中で、スノーデン氏は落ち着いた様子で「母国を再び目にすることができるとは考えていない」とコメント。さらに「間違ったことは何もしていないので、自分が何者かを隠すつもりはない。自分で選んだことだから、怖くもない」と語った。

 しかし、米情報機関を統括するジェームズ・クラッパー(James Clapper)米国家情報長官が8日、米情報活動に「多大かつ重大な損害」を与えたとして情報漏えい容疑で捜査を行う方針を示している点については、米当局による報復の可能性に不安を抱いていることを認めた。

■家族への影響を懸念

 ガーディアンによれば、5月20日にハワイを航空機で離れたスノーデン氏は、香港のホテルにチェックインして以来ほぼずっと客室内で過ごし、これまで3回ほどしか外出していない。監視や盗聴を懸念し、客室のドア沿いには枕を並べ、ノートパソコン使用時には監視カメラがあっても映らないよう、頭から大きな赤いフードをかぶって手元を隠してパスワードを打ち込んでいるという。

 米当局への身柄引き渡しにせよ、中国当局による尋問にせよ、CIAによる超法規的な身柄拘束にせよ、「考えられる展開はどれも悪い」とスノーデン氏は述べている。香港は特別行政区で、中国本土とは異なる独自の司法制度を持つが、米国とは犯罪者引渡条約を結んでいる。

 スノーデン氏はインターネットの自由が最も擁護される国として知られるアイスランドへの亡命に最大の望みを懸けている。だが、目標達成へのハードルは高い。

 ガーディアンとの数時間のインタビューでスノーデン氏が感情を表に出したのは、話が家族のことに及んだときだけだった。米政府機関で働く親類も多く、身内への影響だけが怖いという。「家族に害が及んでも、助けることはもう私にはできない。それを思うと夜、眠れない」と目に涙をためて語った。(c)AFP/Olivia Hampton

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