【6月10日 AFP】英スコットランドの作家イアン・バンクス(Iain Banks)氏が9日未明に死去した。英国放送協会(BBC)が同日、家族の言葉を引用して伝えた。59歳だった。末期がんに侵され、余命1年もないと自ら明かしてから2か月後だった。

「蜂工場(The Wasp Factory)」の作者であるバンクス氏は、英国で最も多作な作家の1人。一般小説とSF小説の両分野で執筆し、SF小説家としてはイアン・M・バンクス(Iain M. Banks)を名乗っていた。

 今月20日に出版が予定されている「The Quarry」は、同氏による最後の作品となった。末期がんの告白を受けて出版が前倒しされたものの、書店に並ぶ作品を作家自身が見ることはかなわなかった。

 バンクス氏は4月、ウエブサイトで「私は正式に大変まずい状態で」と特有のブラックユーモアを交えて末期がんであることを発表し、がんが胆のうで発生し、肝臓、膵臓、リンパ節へと広がったことを説明した。また「最新作『The Quarry』は最後の作品となるだろう」とつづっていた。

 バンクス氏は1984年、「蜂工場」で有名になった。すさまじい勢いで執筆する作家として知られ、小説を3か月内で完成させることもあった。(c)AFP